ドラマ『秘密』第9話考察&感想。中島裕翔”青木”の絶望感が忘れられない…観る人の心にも心情が流れ込む芝居の魅力とは?【ネタバレ】

text by ばやし

板垣李光人&中島裕翔がW主演のドラマ『秘密~THE TOP SECRET~』(カンテレ・フジテレビ系)が放送開始中。科学警察研究所の法医第九研究室、通称“第九”が、死者の生前の記憶を映像化する特殊技術で難事件に挑む。今回は、第9話のレビューをお届け。(文・ばやし)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:ばやし】

ライター。1996年大阪府生まれ。関西学院大学社会学部を卒業後、食品メーカーに就職したことをきっかけに東京に上京。現在はライターとして、インタビュー記事やイベントレポートを執筆するなか、小説や音楽、映画などのエンタメコンテンツについて、主にカルチャーメディアを中心にコラム記事を寄稿。また、自身のnoteでは、好きなエンタメの感想やセルフライブレポートを公開している。

薪(板垣李光人)の頭に次々と浮かぶ過去の亡霊たち

『秘密~THE TOP SECRET~』第9話©カンテレ
『秘密~THE TOP SECRET~』第9話©カンテレ

 第9話で青木(中島裕翔)に降りかかる悲劇は、あまりにも受け入れがたい残酷な現実だった。

 最初の歯車が狂い出したのは、法医第九研究室(通称・第九)のMRI映像のサーバーに何者かが侵入を試みた形跡が見つかったことだ。ハッキングは失敗に終わるが、その際に使用されたパスワードは貝沼事件前のものだった。

 薪(板垣李光人)の頭に次々と浮かぶ過去の亡霊たち。貝沼事件という言葉が出た瞬間に顔つきが変わるほど、薪の心には今もなお、あの事件が残した闇が巣食っている。

 薪には侵入者の心当たりがあったのか、その推理を裏づけるためにひとりで車に乗って出ていこうとするが、岡部(高橋努)はそんな室長の危うい振る舞いが心配で後を追う。

 すると、車の下で不自然に赤い光が点滅していることに薪が気づく。咄嗟の判断で岡部が薪を車から引き剥がすと同時に、乗るはずだった車は爆発して炎上。まさに間一髪だった。

 それにしても、岡部ほど替えのきかない捜査員もいないのではないか。危険を顧みない青木を親のような心持ちで見守りつつ、第8話では嫌がる薪の代わりに記者会見にも出席する。何かと気が利く岡部の負担は雪だるま式に増えているが、それだけ第九に必要不可欠な存在であるとも言えるだろう。

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