ドラマ『ガンニバル』シーズン2考察&感想。恐怖はここから始まった…あの名作を彷彿とさせる? 視聴後の奇妙な満足感のワケ。【ネタバレ】
text by まっつ
「あなたの常識が、食われる」。ドラマ『ガンニバル』シーズン2が3月19日より、ディズニープラス スターにて配信中だ。本作は、閉ざされた村社会で常識が揺るがされるヴィレッジ・サイコスリラー。さっそく現時点で公開中の6話のレビューをお届けする。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:まっつ】
1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。
供花村の恐怖はここから始まった――。
『ガンニバル』シーズン2で描かれた過去編は第5話と第6話の2話分に過ぎないが、なぜこれほどの満足感を得られるのだろう。
若かりし後藤銀(恒松祐里)が村から追放されて3年。供花村は寒さと飢餓に震えていた。村の人々が追い込まれている中、銀が息子の白銀とともに生存していることが明らかとなる。
銀の再登場はセンセーショナルだった。鎌を持って村人を襲い、息子とともに人肉を食って生き延びている。
第5話でも銀は狂気にあふれていたが、人を喰うようになってからはより凶暴性に満ちた表情をありありと感じることができる。現在につながる供花村の怖さはここから始まり、後藤銀こそがすべてだったのだと理解させられる。
寒さと飢餓に加え、銀という新たな脅威にも怯えるようになった村の人々。最初は銀を探すことに躍起となるが、返り討ちにあって犠牲者が増えていくと、矛先は後藤家へと変わっていく。
村の人間が質素な暮らしをしている一方、当主の後藤金次(豊原功補)は食料に困っていない。憎悪が後藤家に向いていくのは自然な流れだ。しかし、争うこととなれば、多くの死傷者が出ることは必至。村や後藤家の人間であってもそう簡単に“戦争”へと踏み切ることはできない。それを裏で後押ししたのが銀だ。