「グズグズ続けるな」映画『プロフェッショナル』ロバート・ロレンツ監督が師クリント・イーストウッドから学んだこととは? 単独インタビュー

text by 山田剛志

リーアム・ニーソン主演の映画『プロフェッショナル』が公開中だ。今回は、メガホンをとったロバート・ロレンツ監督にインタビューを敢行。巨匠クリント・イーストウッドのもとで映画づくりを学んだロレンツ監督の撮影現場でのこだわり、名優たちとの関係性を通じて、『プロフェッショナル』という作品がいかにして生まれたのか。たっぷりと語っていただいた。(取材・文:山田剛志)

『映画は終わりが来たら、グズグズ続けるな』
クリント・イーストウッドから学んだこと

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―――今回、内戦問題に揺れる1974年の北アイルランドを舞台にされています。歴史的な背景を持つ物語を描くうえでどのような点を意識しましたか?

「これは脚本家が最初からこの設定で書いているのですが、歴史的な背景が描かれることで、物語に『信憑性と真実味』が生まれると感じました。この映画の舞台は人々が平和に暮らしている村ですが、水面下ではただならぬ出来事が起こっている。そこが非常に興味深くて、私としても描きがいがありました」

―――映画の上映分数に関して質問をさせてください。今回の作品は106分。今までロレンツ監督の作品はどれも2時間以内に収まっています。簡潔で無駄のない引き締まった印象を与えます。このあたりこだわりはあるのでしょうか?

「物理的に考えると、人が飽きずにじっと観ていられる時間って、やっぱり2時間が限界だと思うんです。ですので、観客が集中して観られる構成にすることを意識しました。これはクリント・イーストウッドから学んだ部分も大きいですね。彼は非常に経済的な映画作りをする人で、『映画は終わりが来たら、グズグズ続けるな』という哲学に私も共感しています」

―――本作には多様なキャラクターが登場しますが、必ずしもバックボーンをすべて説明しようとはしていません。例えば、ニーヴ・キューザックさん演じるリタには、病に伏せている同居人がいるようですが、画面外から咳が聞こえるばかりで、同居人の姿は映し出されることはありません。映画を撮る上で、何を見せて何を見せないでおくのか。監督が意識されていることがあればお聞かせください。

「ビリー・ワイルダー監督の言葉に『観客には1と2を与えて、3は自分で考えさせろ』というのがあります。これは私の映画作りにも通じる考え方です。観客には自分の知性で納得したいという欲求がある。だからこそ、情報を与えすぎずに、考える余白を残すように心がけています」

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