いちばん怖いのは人間…史上最恐の“ヒトコワ”系日本映画(2)前半と後半で話が違う…天才が体現する圧巻の狂気

text by ニャンコ

チャッキーにジグソウ、そして貞子ー。ホラー映画はこれまで世にも恐ろしい「スター」たちを多数輩出してきた。しかし恐いのは妖怪や幽霊だけではない。隣に住むあの人も、突然「モンスター」に変貌するかもしれないのだ。そこで今回は身近に潜む人間の恐怖を描いた「ヒトコワ映画」5本をセレクト。怖いもの見たさを掻き立てる怪作を紹介する。第2回。(文・ニャンコ)

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笑顔の裏に潜む静かな狂気

『ヒメアノ〜ル』(2016)

森田剛
森田剛【写真:映画チャンネル編集部】

監督:吉田恵輔
脚本:吉田恵輔
キャスト:森田剛、濱田岳、佐津川愛美、ムロツヨシ、駒木根隆介、山田真歩、大竹まこと

【注目ポイント】

 『行け!稲中卓球部』で知られる古谷実原作の漫画を実写化したサイコサスペンス。監督は『BLUE/ブルー』(2021)の吉田恵輔で、森田剛や濱田岳が出演している。

 本作は、前半と後半で物語が大きく異なっている。前半は、濱田岳演じる冴えない青年・岡田の恋愛を描いたコメディで進行するが、後半で一転し、一気に地獄のような展開に舵を切るのだ。

 この後半部の幕開けを飾るのが、森田剛演じる連続殺人鬼、森田の登場だ。普段は無表情で静かな森田。しかし、彼は陰で何人もの人間を殺めている。

 特に圧倒的なのは、森田と同姓の森田剛の「怪物的な演技」だろう。なんの感情もなく淡々と人を殺める森田の姿は、狂気を超えて空虚さすら漂わせており、彼がアイドルであったことなどすっかり忘れてしまうほど堂に入っている。

 日常に隣り合った圧倒的な暴力。本作が突きつけるのは、紛れもなくホンモノの恐怖だ。

(文・ニャンコ)

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【了】

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