なぜ共感? ”ダメな主人公”が現代の女性に愛されるワケ。シリーズ最新作『ブリジット・ジョーンズの日記』考察&評価レビュー
text by 近藤仁美
レネー・ゼルウィガー主演の世界的ヒット作シリーズの9年ぶりとなる新作映画『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』が公開中。4作目となる本作は、歳を重ねた主人公・ブリジットの変わらぬドタバタぶりが繰り広げられる。今回は、本作の魅力に迫る。(文・近藤仁美)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:近藤仁美】
クイズ作家。国際クイズ連盟日本支部長。株式会社凰プランニング代表取締役。これまでに、『高校生クイズ』『せっかち勉強』等のテレビ番組の他、各種メディア・イベントなどにクイズ・雑学を提供してきた。
成長した主人公の変わらない魅力
『ブリジット・ジョーンズの日記』(2001)シリーズは、ロンドンで暮らす32歳の独身女性が繰り広げる、恋あり・下ネタありのコメディとして世界的な人気を博した作品だ。原作小説「ブリジット・ジョーンズの日記」は、イギリスの古典的名作「高慢と偏見」に着想を得ており、怠惰でかわいい、等身大の女性の奮闘を描いた物語となっている。
今年(2025年)4月に公開された『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』は、同シリーズの第4弾。9年ぶりの新作で、年齢を重ね夫と死別したブリジット(レネー・ゼルウィガー)が、子育てに奮闘しながら仕事に復帰し、健在のドタバタぶりを発揮するストーリーだ。
近年、前作未履修でも楽しめる続き物映画が増えたが、本作に限っては、先行作品を観ておくことをおすすめする。もちろん、今回の映画だけでも成立はしているのだが、随所に散りばめられたユーモアや、過去作を踏襲した笑いどころに気づけると、何倍も面白く観られる。
特に、「あのブリジットが立派に『お母さん』をしている……!」「いくつになっても叫びたくなること、あるよね」といった、ある種同窓会的なノリは、先行作を鑑賞した人ならではの感慨だ。主人公が久々のデートを前に補整下着と華奢なランジェリーを見比べる様や、子どもを前にFワードをごまかすしぐさは、彼女の変わらない部分と確実に過ぎ去った時間を連想させる。