史上最高のバイオレンス洋画は? 緊張感が張り詰める衝撃作5選。恐ろしくも目が離せない…観る者を圧倒する名シーンをセレクト

text by 村松健太郎

暴力というものはいかなる理由があっても認められるものではない。しかし、どこか目を離せない禁断の果実的な魅力のあるモノであることも確かだ。今回は、激しい銃撃戦や容赦ないバイオレンスアクションシが光る作品を5本セレクトして紹介する。(文・村松健太郎)

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【著者プロフィール:村松健太郎】

脳梗塞と付き合いも15年目を越えた映画文筆屋。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在各種WEB媒体を中心に記事を執筆。

ハリウッドにおけるバイオレンス描写の新境地

『ワイルドバンチ』(1969)

映画『ワイドルパンチ』
映画『ワイドルパンチ』【Getty Images】

監督:サム・ペキンパー
脚本:ウォロン・グリーン、サム・ペキンパー
キャスト:ウィリアム・ホールデン、アーネスト・ボーグナイン、ロバート・ライアン、エドモンド・オブライエン、ハイメ・サンチェス、ベン・ジョンソン、エミリオ・フェルナンデス、ストローザ・マーティン、L・Q・ジョーンズ、ウォーレン・オーツ

【作品内容】

 バイオレンス映画の巨匠、サム・ペキンパー監督が手がけた、滅びゆくアウトローたちの生き様を描いた傑作西部劇。舞台は20世紀初頭のメキシコ。
 
 1913年、アメリカ・テキサスでの銀行強盗に失敗したパイク率いる強盗団は、追手を逃れて国境を越え、動乱のメキシコへと向かう——。

【注目ポイント】

 サム・ペキンパー監督が59歳でこの世を去ってから、すでに40年以上の月日が流れた。改めて「バイオレンス映画」というテーマで作品を選ぶ際に、彼の名前を出すのもいかがなものかとも思えるが、それでもなお、彼は色あせることなく輝きを放ち続け、“バイオレンスの巨匠”という称号にふさわしい存在として不動の地位を保っている。

 作られた年代的に見ると、いわゆるアメリカン・ニューシネマの1本ということになるが、今やその枠組みを飛び越えて歴代西部劇史上に名を残す傑作として言っていいだろう。

『ワイルドパンチ』では、テキサスのメキシコ国境の街、強盗団“ワイルドバンチ”の物語が描かれる。強盗事件を繰り返す彼らは、かつての旧友が敵対する賞金稼ぎに追われる身となり、囚われた仲間のためにたった4人で200人のメキシコ政府軍との戦いに挑んでゆく。

 映画全体に漂うのは“滅びの美学”。すでに時代に取り残されつつある男たちが、覚悟を決めて最後の闘いに挑んでいく姿は、当時すでに下降線をたどっていた西部劇というジャンルの趨勢に重ねることもできよう。

 スローモーションを活用したバイオレンスシーンは、ハリウッドにおけるバイオレンスアクションの新境地を開いた。

 特に印象に残る銃撃シーンは“デス・バレエ(=死のバレエ)”と評され、一度見れば二度と忘れられない強烈なインパクトを残す。

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