「やる気が出る」邦画の最高傑作は? 素晴らしきお仕事映画(1)駅から転落寸前で救ったのは…心救う友情劇

text by 小室新一

“働く”とはどういうことなのか。仕事をすることで喜びを見つける者もいれば、反対に苦しむ者もいるだろう。働くことの意味が知りたくなった時、映画の中にヒントを見つけてみよう。求めている答えがきっと見つかるはずだ。そこで今回は、前向きな気持ちになれるお仕事映画を5本セレクトしてご紹介する。(文・小室新一)

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『ちょっと今から仕事やめてくる』(2017)

福士蒼汰
福士蒼汰【Getty Images】

監督:成島出
脚本:多和田久美、成島出
原作:北川恵海
出演:福士蒼汰、工藤阿須加、黒木華、森口瑤子、池田成志、小池栄子、吉田鋼太郎

【作品内容】

 就職活動に失敗して、ブラック企業に就職してしまった青山隆(工藤阿須加)。ノルマが厳しく、上司からの責などで追い込まれた隆は、駅のホームから転落しそうになってしまう。

 ギリギリのところで助けてくれたのは、幼少期の同級生を名乗るヤマモト(福士蒼汰)だったが…。

【注目ポイント】

 第21回電撃小説大賞を受賞した同名の人気小説を実写映画化。監督は、『八日目の蝉』(2011)などの成島出が務める。主人公の青山隆を、元プロ野球選手の工藤公康を父に持つ、工藤阿須加が演じる。謎の青年、ヤマモトを演じるのは、『仮面ライダーフォーゼ』(テレビ朝日系、2011~)などで知られる福士蒼汰。

 映画の前半部分では、ブラック企業の様子が強調されて描かれており、想像を絶するほど厳しい社訓や朝礼などは、働く人を仕事漬けのマシーンへと変えていく。こんな会社にいれば、精神はすり減り、おかしくなってしまうだろうと感じさせるぐらい恐ろしい。また、社内の雰囲気も暗く、カーテンを締め切った閉鎖的な環境下で壊れていく社員たちを見ていると、観ているこちらまで気分が落ち込んでいく。

 それとは対照的に、ヤマモトと過ごす時間は日の光が当たった明るい環境が多い。2人が杯を交わす飲食店ですら、同じ室内なのに、職場とは 対照的に照明が明るくて、木を基調とした内装には温かみと開放感がある。また、後半、ストーリーの焦点がヤマモトに移って以降は、前半と打って変わって、明るさと希望を感じることができる。

 この映画を通して、仕事が人生のすべてではない、あくまで生きるための手段であるということを認識させられる。今の仕事がつらい人は、本作を見て、仕事への考え方や向き合い方の参考にしてみてほしい。

(文・小室新一)

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【了】

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