「やる気が出る」邦画の最高傑作は? 素晴らしきお仕事映画(5)42歳で漫画家を目指す…ダメ男に惹かれるワケ

text by 小室新一

“働く”とはどういうことなのか。仕事をすることで喜びを見つける者もいれば、反対に苦しむ者もいるだろう。働くことの意味が知りたくなった時、映画の中にヒントを見つけてみよう。求めている答えがきっと見つかるはずだ。そこで今回は、前向きな気持ちになれるお仕事映画を5本セレクトしてご紹介する。(文・小室新一)

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『俺はまだ本気出してないだけ』(2013)

堤真一
堤真一【Getty Images】

監督:福田雄一
脚本:福田雄一
原作:青野春秋
出演:堤真一、橋本愛、生瀬勝久、山田孝之、濱田岳、指原莉乃、賀来賢人、ムロツヨシ、川久保拓司、秋元黎、ドナルド・アッシュ、蛭子能収、尾上寛之、小柳心、村松利史、池田成志、佐藤二朗、水野美紀、石橋蓮司

【作品内容】

 バツイチ子持ち、42歳の大黒シズオ(堤真一)は、自分のやりたいことを見つけるために仕事をやめたのだが、やりたいことが見つからずに家でゴロゴロしている毎日を過ごしていた。そんなある日、書店で見つけた本をきっかけに漫画家を目指す決意をする。

【注目ポイント】

 青野春秋の同名の人気漫画を実写映画化。監督を務めるのは、コメディ映画を得意としている福田雄一。主役は、堤真一が演じ、福田雄一作品の常連である山田孝之、ムロツヨシ、賀来賢人らが脇を固める。

 福田監督の特徴であるギャグ要素を多く含んだ作品であり、見ていてクスッと笑えるシーンが多く盛り込まれている。シズオの脳内で再生される神様とのやり取りは思わずクスリとさせられる。また、バイト先での「店長」ネタもシュールで面白い。テンポがよく、上映時間は105分と見やすい長さであり、疲れているとき、気持ちをリフレッシュさせるのに打ってつけ。

 シズオは計画性がなく、いい加減なダメ男であるが、一生懸命に生きて、自分の人生を謳歌している。その姿は観る者に憧れを抱かせる。1度きりの人生をどう生きるのか。彼の前向きで自由な考え方に感化されて、変わっていく大人たちと変わることによって、好転する展開が見どころである。

 作中ではサラリーマンが少し不憫に感じるが、もちろん会社員が悪いわけではない。自分がやりたいことを見つけて頑張ることと、自分がかっこいいと思う姿を追い求めることの重要性も教えてくれる。1日1日を本気で生きよう、と思わせてくれる作品だ。

(文・小室新一)

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【了】

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