史上最も視聴者を困惑させた大河ドラマは? 伝説の迷場面(5)ギャップが苦しい…無茶ぶりに応えた名優は?

text by 阿部早苗

NHK大河ドラマといえば、1年間という長期に渡って主人公の人生を濃密に描く歴史大作。とはいえ、どんなに素晴らしい作品にも「制作上の都合」というものは存在する。そこで、今回は大河ドラマにおけるツッコミどころを5つご紹介。少なからずの視聴者が違和感を覚えたであろうポイントを踏まえて解説する。第5回。(文・阿部早苗)

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埋められないギャップに思わずツッコミ

『真田丸』(2016)

堺雅人
堺雅人【Getty Images】

脚本:三谷幸喜
キャスト:堺雅人、哀川翔、浅利陽介、阿南健治、新井浩文、井上順、今井朋彦、内野聖陽、榎木孝明

【作品内容】

 戦国時代を生き抜いた真田信繁(幸村)が、天才肌の父と才知に長けた兄の背を追いながら、乱世の中で生き延びる道を模索。やがて大坂の陣において、戦国最後の最強の砦「真田丸」を築き上げる波乱に満ちた生涯を描く。

【注目ポイント】

 2016年に放送された『真田丸』は三谷幸喜が脚本を担当。三谷の特徴的で軽妙な台詞回しや緻密なキャラクター描写によって、これまでの大河ドラマとは一線を画す作品となった。

 本作は戦国時代の武将・真田信繁(幸村)の生涯を描いた物語。父・真田昌幸(草刈正雄)のもとで生き抜く知恵を学び、兄・信之(大泉洋)とともに戦国の荒波に翻弄されながら成長。やがて徳川家康と対立し、最終決戦となる大坂の陣では、知略を尽くした「真田丸」で徳川軍を苦しめ、最後まで武士の誇りを貫く姿が描かれている。

 そんな主役の真田信繁を演じたのは堺雅人。放送当時はドラマ『半沢直樹』(2013)での熱演が記憶に新しかった。そんな堺は真田信繁の15歳から49歳までを見事に演じきっている。

 そう…15歳もだ。初回で登場した堺はニコニコしたり、浮ついた表情を見せたりと等身大の15歳の少年を演じたが当時40代前半。そんな彼の姿に「ギリギリ許せるかなぁー」という声がある一方で、「頑張って若々しく演じてるだけに、埋められないギャップが見てて苦しい。無理させんな!お願いだから子役使って!!」とツッコミを入れたくなる気持ちも分からなくもない。

 とはいえ、三谷が手がけた大河だ、面白くないわけがない。しかも最高視聴率は20.1%を記録し、2016年の「Yahoo!検索大賞2016」ではドラマ部門を受賞している。戦乱の世を舞台に、重苦しくなりすぎず、かつリアルに、その上エンターテインメント性豊かに仕上げた手腕には脱帽せざるを得ない。

(文・阿部早苗)

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【了】

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