史上もっとも偉大な映画シリーズは? 進化し続ける傑作(1)ぜんぶ面白い…神話のような壮大な物語とは?
映画シリーズには、作品が重ねられるごとその魅力が深まっていくものがある。新たなキャラクターの登場、進化するストーリー展開、そして時を経ても色褪せない感動…。今回は、どの作品も見逃せない、シリーズ全体の評価が高い洋画を5本セレクトして紹介する。第1回。(文・阿部早苗)
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『ゴッドファーザー』(1972~)
監督:フランシス・フォード・コッポラ
脚本:マリオ・プーゾ、フランシス・フォード・コッポラ
原作:マリオ・プーゾ
出演者:マーロン・ブランド、アル・パチーノ、ジェームズ・カーン、ロバート・デュヴァル
【作品内容】
マフィア一族の初代ドン・ヴィトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)から息子マイケルへの権力継承と、その過程での苦悩、裏切り、家族愛が重厚に描かれたコルレオーネ一族の興亡を描いた壮大なドラマ。
【注目ポイント】
マフィア映画の金字塔である『ゴッドファーザー』シリーズは、アメリカのマフィア社会を舞台に、コルレオーネ一族の栄光と没落を描いた三部作。マリオ・プーゾの同名小説を原作に、フランシス・フォード・コッポラが監督を務めた作品だ。
シリーズを通して描かれている緻密なストーリー構成と人間ドラマは、単なるマフィア映画にとどまらない神話的な広がりをもっている。
第1作では、アメリカで最も影響力を持つイタリア系マフィアのドン・ヴィトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)に焦点を合わせ、その息子マイケル(アル・パチーノ)が如何にして父の後を継ぎ、冷酷なドンへと変貌してい過程が描かれる。そして第2作では、マイケルがドンとなって権力を強める一方、若き日のヴィトー(ロバート・デ・ニーロ)が腕一つで裏社会をのし上がっていくストーリーが交互に描かれ、2作連続でアカデミー賞作品賞を受賞する快挙を達成した。
第3作目では、老いたマイケルが過去の罪を悔いファミリーを合法的な事業に導こうとするも、後継者問題や対立するマフィアに命を狙われるなどシリーズの終章として重苦しくも感動的な結末を迎える。1作目、2作目とは異なり、アカデミー賞を受賞することはなかったものの、フランシス・フォード・コッポラの演出は円熟を迎えており、細部の描写の豊かさはシリーズでも随一とする映画ファンは多い。
家族や権力、裏切り、そして贖罪といった普遍的なテーマを丁寧に描き出す本作。アル・パチーノ、マーロン・ブランド、ロバート・デ・ニーロといった名優たちによる圧巻の演技もさることながら、印象的な音楽や緻密な演出など、全ての要素がきわめて高い水準に達しており、作品世界を豊かに彩っている。
観るたびに新たな発見がある『ゴッドファーザー』シリーズ。未見の方はぜひご覧になっていただきたい。
(文・阿部早苗)
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