『キャスター』第3話考察。のん、11年ぶりの民放ドラマ出演で輝くワケ。今、”あの事件”を取りあげた制作の意図とは?【ネタバレ】

text by ばやし

ドラマ『キャスター』(TBS系)が現在放送中。本作は、テレビ局の報道番組を舞台に闇に葬られた真実を追求し、悪を裁いていく社会派エンターテインメント。3年ぶり6回目の日曜劇場主演となる阿部寛が、型破りなキャスターを演じる。今回は、第3話のレビューをお届け。(文・ばやし)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:ばやし】

ライター。1996年大阪府生まれ。関西学院大学社会学部を卒業後、食品メーカーに就職したことをきっかけに東京に上京。現在はライターとして、インタビュー記事やイベントレポートを執筆するなか、小説や音楽、映画などのエンタメコンテンツについて、主にカルチャーメディアを中心にコラム記事を寄稿。また、自身のnoteでは、好きなエンタメの感想やセルフライブレポートを公開している。

“あの出来事”を想起させた『キャスター』第3話

『キャスター』第3話©TBS
『キャスター』第3話©TBS

 若い女性研究者が万能細胞を発見したという歴史的快挙。著名な学術誌に論文が掲載されたものの、その後、研究論文に不正が発覚。筆頭研究者であった女性は、世間やマスメディアから厳しい糾弾を受ける。

 そのどれもが、現実に起きた“あの出来事”を想起させる。ドラマ『キャスター』の第3話で描かれたのは「STAP細胞」の一連の騒動に対するひとつの提起だった。

 帝都大学の研究員・篠宮楓(のん)が発見したのは、新たな万能細胞とも言える「iL細胞」。科学学術誌「Theory」に論文が掲載された画期的な研究は、かつてノーベル賞を受賞した高坂教授(利重剛)の「Ida細胞」を上回るものだった。

 そんな歴史的発見をマスメディアが見逃すはずがない。報道番組「ニュースゲート」でも、篠宮に対して独占インタビューを敢行。しかし、メインキャスターを務める進藤(阿部寛)はインタビュー映像の直後に、彼女の研究に関わる不正疑惑を生放送で追求する。

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