『しあわせは食べて寝て待て』第5話考察&感想。宮沢氷魚“司”の結婚観に涙…心を癒す干し柿の効果とは? 【ネタバレ】

text by 菜本かな

桜井ユキ主演のNHKドラマ『しあわせは食べて寝て待て』が現在放送中だ。本作は、病気で人生が一変した主人公が、築45年の団地での人間関係と薬膳との出会いを通して、自分次第のしあわせに気づいていく心温まる物語。今回は、第5話のレビューをお届けする。(文・菜本かな)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:菜本かな】

メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。

思考を解きほぐす鈴(加賀まりこ)の言葉

『しあわせは食べて寝て待て』第5話 ©NHK
『しあわせは食べて寝て待て』第5話 ©NHK

「柿ってね、身体を冷やすって言うじゃない。でもね、お日様に干すと変わるの」

 『しあわせは食べて寝て待て』(NHK総合)第5話、鈴(加賀まりこ)の言葉にハッとさせられた人も多いのではないだろうか。わたしは、凝り固まっていた思考が解きほぐされたような感覚になった。

 調べてみると、薬膳において柿は生と干したものではまったく異なる効果があるらしい。生の柿は身体を冷やす“寒性”で、干し柿は身体を温める“温性”になる。もともとは“寒性”なはずなのに、お日様に当てただけで真逆の性質になると考えると、なんだか面白い。これって、人間にも通ずる部分があるんじゃないかと思った。

 たまに、「置かれた場所で咲きなさい」という言葉を耳にすることがあるが、わたしは自分が咲く場所は自分で選ぶべきだと思っている。本作の主人公・さとこ(桜井ユキ)も、自分で選んで団地に住み始めた。そこで薬膳と出会い、みるみるうちに前向きになっていったのだ。

 ここに引っ越す前は、ただ生きることだけで精一杯だったのに、体調を良くするために…と前を向くようになったし、最初はわずらわしかった近所付き合いも、今は心の支えになっている。もしも、さとこが違う場所を選んでいたら、まったく違った“現在”があったかもしれない。そう考えると、一つひとつの選択(とくに、置かれる場所)を、大事にしていかなければならないと思わされる。

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