映画『ぶぶ漬けどうどす』監督&脚本家が語る制作秘話とは…? 「主人公は深川麻衣(元乃木坂46)しかいない!」

text by 編集部

深川麻衣が主演を務める映画『ぶぶ漬けどうどす』。本作は、京都が好きすぎる主人公が、“京都愛”が強すぎるために大騒動を引き起こしてしまう物語だ。6月6日(金)に全国公開を控えた本作より、冨永昌敬監督、脚本家・アサダアツシが制作秘話を明かした。(文・編集部)

なぜ京都を舞台に? 脚本家・アサダアツシが語る原点とは―

映画『ぶぶ漬けどうどす』
©2025「ぶぶ漬けどうどす」製作委員会

 本作の舞台となるのは、歴史に名を残す寺社仏閣が点在する美しい街並みや、悠久の時を超えて受け継がれてきた伝統文化が、世界中の人々を魅了する古都・京都。そんな京都が大好きすぎて、この街のいちばんの理解者になろ うとした主人公が、思いもよらず引き起こした大騒動を描くシニカルコメディが誕生した。

 騒ぎの火種となるのは、「本音と建前」を使い分ける県民性。その技を器用に駆使する〈京都人〉と、東京から来た〈ヨソさん〉である主人公との攻防が、面白おかしく展開する。だが、それは京都という迷宮への入口に過ぎない。〈ヨソさん〉も〈生粋の京都人〉さえも、京都を愛すれば愛するほど、奥の深すぎる不可思議なこの街に飲み込まれてゆく──。

 2018年、新たな映画のオリジナル企画を考えていた脚本家のアサダアツシは、当初、共に開発を行っていたプロデューサーから「学校帰りの高校生が2、3人でふらっと立ち寄って観た時に喜んでくれる映画」と提案され、ホラーテイストのエンターテインメントはどうかと考えたという。

 王道のホラー映画ではなく、何かチャレンジングな作品をとイメージした時、アサダが敬愛する作品『ローズマリーの赤ちゃん』(1968)のような、主人公が実体のない何かに囚わていく物語を思いつく。それが、なぜ京都だったのか。「舞台となる場所そのものも、ある種の顔を持っていて、如何ともし難いような力が働いている街にしたいと考えた時、出てきたのが京都でした」とアサダは振り返っている。

 その後、本格的な脚本開発が進められる中、ジャンルに捕らわれない唯一無二の作品を輩出する映画監督・冨永昌敬が加わったことで、ホラー要素は薄まっていったという。一貫していたのは、京都という場所と長い歴史を持つ文化に自分が拒絶されるとは全く思っていない主人公だ。

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