大河ドラマ『べらぼう』前半戦で最も良かったキャストは? 名シーン5選。お茶の間をわかせた珠玉の場面をセレクト
text by 苫とり子
横浜流星主演の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合)が現在放送中。貸本屋からはじまり「江戸のメディア王」にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描く。今回は、第一章の名シーンを振り返り、もっとも良かった俳優5選をお届けする。(文・苫とり子)
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
スタートダッシュ成功の立役者は横浜流星(蔦屋重三郎)
初回の放送がNHKプラスでこれまで配信した全ドラマの中で最多視聴数を記録し、毎話放送後に関連ワードがX(旧Twtter)でトレンド入りを果たすなど、大きな反響を呼んでいる大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』。多くの人を夢中にしている最大の理由は、主人公である“蔦重“こと蔦屋重三郎(横浜流星)が非常に魅力的であることではないだろうか。
江戸時代の版元であり、大胆な発想と秀でた商才で数々のヒット作を生み、また様々な文化人と交流を重ねて、喜多川歌麿や東洲斎写楽など新たな才能を世に送り出してきた名プロデューサーとして知られる蔦重。その片鱗を初回で早くも見せつけたのが、田沼意次(渡辺謙)と初対面する場面だ。
困窮する吉原のために、岡場所や宿場の飯盛女を取り締まってほしいと意次に直訴した蔦重。だが、国益の観点から願いを聞き入れてもらうことはできなかった。さらには、「お前は何かしているのか? 客を呼ぶ工夫を」と意次に問われる。その瞬間、蔦重は脳天を撃ち抜かれたような表情を見せると、「お言葉、目が覚めるような思いがいたしやした! まこと、ありがた山の寒がらすにございます!」と頭を下げるのだ。不平不満だらけの世の中を蔦重が己のアイデアでサバイブしていく物語のはじまりと、その前向きでカラッと明るいキャラクターが印象付けられ、ワクワクさせられたのを覚えている。