大人にこそ響く…最も演技が光ったWEST.メンバーは? 映画『裏社員。―スパイやらせてもろてます―』考察&評価レビュー
アイドルグループ・WEST.が全員主演を務める映画『裏社員。―スパイやらせてもろてます―』が公開中。本作は、『おっさんずラブ』(2016~)シリーズで知られる瑠東東一郎監督のもと、エンタメ性が詰め込まれた作品だ。今回は、本作のレビューをお届けする。(文・近藤仁美)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:近藤仁美】
クイズ作家。国際クイズ連盟日本支部長。株式会社凰プランニング代表取締役。これまでに、『高校生クイズ』『せっかち勉強』等のテレビ番組の他、各種メディア・イベントなどにクイズ・雑学を提供してきた。国際賞「Trivia Hall of Fame(トリビアの殿堂)」殿堂入り。著書に『クイズ作家のすごい思考法』『人に話したくなるほど面白い! 教養になる超雑学』などがある。
『おっさんずラブ』の監督が描く新感覚スパイ映画
5月2日公開の映画『裏社員。―スパイやらせてもろてます―』は、7人組アイドルグループWEST.の全員が主演を務める映画だ。監督は、『おっさんずラブ』シリーズで知られる瑠東東一郎。主題歌「ウェッサイソウル!」の作詞・作曲はトータス松本、サウンドプロデュースはウルフルズと、各界の綺羅星のようなメンバーが集った力作である。
映画公式が、自ら「アクションも笑いも全部詰め込んだ」というように、この作品は構成要素が多い。開始早々の大立ち回り、ベタかと思えばときにウィットに富んだ笑い、友人同士だからこその複雑な感情、ちょっと切ない恋物語など、エンタメのツボが多数盛り込まれていた。
さて、タイトルにある「裏社員」とは、表で解決できない諸問題を秘密裏に処理する会社員のことだ。スパイのような役回りで、問題が起きれば個人の責任、会社は知らぬ存ぜぬで逃れるというスタンスで、いざとなったら切り捨てられてしまう存在だ。
そんな彼らが、新しい商業施設を造るためにさびれた商店街の取り壊しを画策するうち、なぜだか地域の住人たちに受け入れられ、頼られていくようになる。そして生じる心の葛藤。任務のために周囲を裏切り続けるのか、会社を去って商店街に尽くすのか。さてどうする……? というのが本作の流れである。