『あなたを奪ったその日から』第3話考察&感想。この親子関係が本物だったらよかったのに…印象が激変したキャストとは?【ネタバレ】
text by 西本沙織
北川景子主演のドラマ『あなたを奪ったその日から』(カンテレ・フジテレビ系)が現在放送中だ。本作は、食品事故で子どもを失った母親が、事故を起こした男の娘を誘拐するサスペンスドラマ。復讐と親子愛の壮大なストーリーだ。今回は、第3話のレビューをお届けする。(文・西本沙織)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:西本沙織】
1992年生まれ、広島在住のライター。会社員として働くかたわら、Web媒体でエンタメに関するコラムやレビュー記事の執筆を行っている。ドラマや映画、マンガなどのエンタメが好き。
誘拐から3年――。
キッチンで遊ぶ娘にピシッと注意する光景、仲睦まじく食卓を囲む光景は、本当の親子のよう。紘海(北川景子)と美海(前田花)をみていると、親子とは、決して血縁だけでなく、積み重ねた時間によるものだと思えてくる。
しかし、紘海は被害者家族であり、誘拐の加害者であり…。そして美海は加害者の娘であり、誘拐の被害者であることが、2人の関係を複雑化させる。それでも、ひだまりのようなあの親子関係が本物だったらなあ、なんて。そう思わせてしまう儚さが、この物語にはあるのだ。
『あなたを奪ったその日から』第3話では、紘海が萌子、あらため美海を連れ去って3年の時が過ぎていた。美海は不思議なことに3歳までの記憶がなく、元の家のことも、旭(大森南朋)のこともまったく覚えていない。ふとしたことで過ちや恨みが蘇ることはあっても、紘海は美海と穏やかな毎日を過ごしていた。
美海が6歳になると、現実的な問題がみえてくる。小学校は問題ないが、中学、高校と進むならば戸籍が必要になる。美海は鉄道が大好きで、車掌になるためにたくさん勉強するとまぶしく語っていた。美海の過去も生活も奪ってしまった紘海が、今度は未来までも奪いかねないという現実が残酷だ。