春ドラマで最も株を上げた女優は? 演技が素晴らしい宝石5選。新たな魅力を開花させ、評価急上昇の役者たち
text by 平良真咲
2025年の春ドラマも盛り上がっている。今回は、現在放送中のドラマに出演する女優をピックアップ。キャリア十分の実力派や新境地を開拓した若手の中から、今季、最も役者として株を上げた注目の女性俳優5人を選出し、作品の内容と共に、俳優の魅力を解説する。(文・平良真咲)
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北川景子の新たな一面を切り出す代表作
北川景子『あなたを奪ったその日から』(カンテレ・フジテレビ系)
アナフィラキシーショックで子どもを亡くした母親・中越紘海が、問題のピザを販売した会社の元社長・結城旭に復讐をしようとする様子を描いた『あなたを奪ったその日から』(カンテレ・フジテレビ系)。本作で主演を務めているのが北川景子だ。第二子出産後、初となる連ドラ主演作にして子どもを失う役というのは、演じていて相当しんどいシーンもあることだろう。
実際、北川からは言葉にせずとも、紘海の悲しみや痛みが全身から放たれているようだ。自身が勤める保育園の子どもを我が子と重ねて「ごめんなさい、ごめんなさい…」と号泣する姿は、こちらまで胸が張り裂けそうだった。
同時に、結城宅へ乗り込むのを思いとどまったものの、怒りや恐怖で包丁がなかなか手から離れなかったり、結果的に誘拐する形になってしまった結城の次女を手にかけようとして果たせなかったりといった、迷いや良心の呵責に苦しむ姿も描かれる。ドロドロとした憎悪にまみれた復讐劇だけではないからこそ、北川の静かな存在感が、迫力を持って観る者に迫ってくるようだ。
キャリアの早い段階から同世代が憧れるような役を多く担いながら、『家売るオンナ』(日本テレビ系、2016)などの作品では風変わりな役も巧みに演じてきた北川。今作は、彼女の新たな一面を切り出す代表作となることだろう。