【カンヌ現地取材】是枝裕和×IMAGICA GROUPが仕掛ける“世界を狙うオリジナル映画企画”、注目の第1弾作品は?
text by 編集部
開催中の第78回カンヌ国際映画祭にて、IMAGICA GROUPが初めて行うオリジナル映画製作プロジェクトの第1弾作品が発表された。会見には、IMAGICA GROUP代表取締役社長・長瀬俊二郎、審査員の是枝裕和・市山尚三・坂野ゆかに加え、第1弾作品のプロデューサーである土川はなが登壇した。(文:山田剛志)
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映えある第一弾作品は寺田ともか監督『Maria』
同プロジェクトは、IMAGICA GROUPのグループ会社内から映画企画を募集し、毎年1本を選定して製作するもの。選ばれた作品は、国際映画祭への出品・受賞を目指して制作され、これを5年間継続することで、才能あるクリエイターの発掘・育成を目指すという。
審査員として参加した是枝裕和は、プロジェクトの意義について次のように語った。
「日本のインディペンデント映画が海外で紹介される機会はまだまだ限られています。業界内部から若い才能を発掘・育成する視点が弱いのが現状です。このプロジェクトが10年、15年と続き、アジアの若手監督たちにも広がっていくことを願っています」
88本の応募作品から選ばれた第1弾作品は、1993年生まれの寺田ともかがメガホンをとる『Maria』。寺田は、是枝らが中心となって立ち上げた映像制作集団「分福」に所属し、『怪物』(2023)などで監督助手を務めてきた。本作が長編映画デビュー作となる。
ビデオメッセージを通じ、寺田は次のように意気込みを語った。
「大阪南部の田舎町で育ち、ソーシャルワーカーとして働いてきた経験をもとに、一人の少女が自身の尊厳を守りながら生きていく物語を描きました。シリアスな社会問題を背景にしつつも、ユーモアと温かさが感じられる作品にしたいと思っています」
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