ラスト5分で拍子抜けした映画は? 呆気ない結末の迷作(5)自由を選び続けた主人公の意外すぎる幕切れとは?

text by シモ

観る者の肩をすかしたり足をすくったりするような驚きのある作品は、刺激的で衝撃的な作品とはまた違った良さがある。今回は、まさかの結末が待っている作品の中から、特にラスト5分で拍子抜けするほどの意外な展開を迎える作品をセレクト。単にガッカリさせられるだけでなく、余韻やメッセージ性が強い傑作もご紹介する。第5回。(文・シモ(下嶋恵樹))

女性の自由と悲劇を描いた最高傑作

『冬の旅』(1985)

アニエス・ヴァルダ
アニエス・ヴァルダ【Getty Images】

上映時間:105分
原題:Sans toit ni loi
製作国:フランス
監督:アニエス・ヴァルダ
脚本:アニエス・ヴァルダ
キャスト:サンドリーヌ・ボネール、マーシャ・メリル、ステファーヌ・フレス、ヨランド・モロー、パトリック・レプシンスキ、マルト・ジャルニアス

【あらすじ】

 ある寒い冬の朝。フランスの片田舎の畑で凍死している女性が発見される。

 モナ(サンドリーヌ・ボネール)という名の18歳の女性だ。警察は彼女を、自然死として扱おうとするが…。

 モナは、どのような経緯で亡くなってしまったのか?

【注目ポイント】

 本作品は、生涯現役を貫いて90歳で亡くなったフランスの女性監督アニエス・ヴァルダの最高傑作だ。

 物語は、モナに出会った人々の証言を元に、彼女が亡くなる数週間前の足跡をドキュメンタリータッチでたどる。

 寝袋とリュックだけでヒッチハイクで放浪する彼女は、その日暮らしを繰り返す毎日。同じヒッチハイクの男性とともに過ごしたり、お屋敷で過ごしたり。

 牧場で生計を立てる夫婦に、「長生きしたければ旅をやめるように」と言われても、我関せずだ。

 彼女のことを気にかけてくれるランディエ教授(マーシャ・メリル)と出会い、心を動かされる瞬間もあるが、生き方を変えるつもりはない。彼女の唯一の希望は、自由だからだ。

 物語のラスト。誰にも頼れなくなって食料と寝る場所を求めて村に救いを求めたモナだったが、ワインの収穫祭で盛り上がる村人たちに追いかけられ、恐怖で逃げ出す。

 そして、行き着いた何もない畑で彼女は、寒さに震えつつ凍死してしまうのだ。

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【了】

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