今、最も同業者から尊敬されている日本人俳優は?(1)偉大すぎる…プロが敬服する底知れない演技力の持ち主
同業者から尊敬を集める音楽家は「ミュージシャンズ・ミュージシャン」と呼ばれる。俳優界も例外ではなく、「アクターズ・アクター」と呼ぶほかない存在が少なからずいる。現場を知る者たちが「共演したい」と語る俳優には、突出した何かがあるのではないか。今回は“同業者にファンが多い俳優”を5人セレクト。その活動に焦点をあて、演技の素晴らしさを紐解いていく。第1回。(文・shuya)
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真の「俳優の中の俳優」
役所広司
日本を代表する名優・役所広司。日本アカデミー賞では、高倉健と並ぶ歴代最多タイとなる4回の最優秀賞主演男優賞を獲得。第76回カンヌ国際映画祭ではヴィム・ヴェンダース監督『PERFECT DAYS』(2023)で日本人として19年ぶり2人目となる男優賞を獲得するなど、実績面において他の俳優を圧倒している。
現場での信頼も厚く、共演者やスタッフからの評価も高い役所。菅田将暉が「日本映画を牽引する存在」と語り、内野聖陽、岡田准一といった実力派俳優たちがその背中を追い続けていることからも、彼がいかに広く、深く支持されているかがうかがえる。まさに、世代を超えて尊敬を集め続ける、真の「俳優の中の俳優」と言っていいだろう。
多くの俳優から圧倒的な支持を受けている役所だが、中でも、役所への敬意をひときわ強く語っているのが、俳優・古舘寛治だ。あるインタビューで「日本の俳優で憧れている方は?」と問われた際、古舘は迷うことなく「ダントツで役所さんです」と答えている。
さらに彼は、役所との共演経験を振り返り、次のように語っている。
「役所さんと共演させてもらって、つくづく自分のダメさに気づかされたんですよ。役所さんくらいの俳優でも、監督から言われたことは、多少疑問に思ってもやられるんですね。役所さんの素直にやる姿を見せつけられて、自分は俳優として失格だなって思って…。」
こうした言葉からも、役所広司という俳優が、技術だけでなく現場での姿勢においてもどれほどの影響力を持っているかがわかる。
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