今、最も演技が上手い30代女優は? 日本映画界の至宝(2)吸引力のある芝居が凄い…評価急上昇ど根性女優は?
text by 野原まりこ
日本の映像作品が世界で躍進している昨今。良作には必ずと言っていいほど、良い女優が出演している。彼女たちの魅力を紐解いていくと、スターダムに上り詰めた道程はなんともドラマチックだ。今回は演技に定評のある30代女優を5人セレクト。その魅力を解説していく。第2回。(文・野原まりこ)
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唯一無二の“目”を持つ女優
岸井ゆきの
岸井ゆきのといえば、KANA-BOONの「ないものねだり」のMVでのインパクトが忘れられない。奈良美智の絵を想起させる面立ちで、不機嫌に歩く姿がとても可愛かった。それからしばらくして、多くの作品で彼女の顔を見かけるようになっていった。
デビュー当初は、どちらかというとサブカル路線の女優というイメージが強かったが、民放ドラマで主演を張るようになり、日本のドラマ、映画界において独自のポジションを築いている。
中でも、吉田恵輔監督作『神は見返りを求める』(2022)ではカラダをはった演技で観る者を驚かせた。岸井演じる底辺YouTuberのゆりが、冒頭から酒に酔い、半ケツを出す姿は、見ていてなんとも痛々しく、吉田ワールドを見事に体現していた。
一方で、映画『ケイコ 目を澄ませて』(2022)では、聴覚障害を持つボクサーのケイコを熱演。本作で第46回日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞を獲得した。
河原で黄昏れる澄み渡っている眼差しは、何か我々とは違う何かを見ているようにも見える。タイトルの“目を澄ませて”は、岸井ゆきの力強く、透き通った“目”を表現したタイトルであるかのようだ。
今後の岸井の活躍からも目が離せない。
(文・野原まりこ)
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