ドラマ『キャスター』が描く「正義」の歪さとは? 道枝駿佑“本橋”の本気の表情に胸打たれたワケ。第7話考察レビュー【ネタバレ】
text by ばやし
ドラマ『キャスター』(TBS系)が現在放送中。本作は、テレビ局の報道番組を舞台に闇に葬られた真実を追求し、悪を裁いていく社会派エンターテインメント。3年ぶり6回目の日曜劇場主演となる阿部寛が、型破りなキャスターを演じる。今回は、第7話のレビューをお届け。(文・ばやし)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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「正義」の歪さ
「正義は間違うと危険だ。時代、国、立場、状況によって、常に形を変える」
進藤(阿部寛)が言うように、このドラマで語られる「正義」はどこか歪で、状況や立場によってガラリと見え方が変わっていく。だからこそ、登場人物たちは盲目的に「正しさ」に依存することで、いとも簡単に道を踏み外してしまうのかもしれない。
娘のゆきのを助けるため、国内で臓器移植することを決断した真弓(中村アン)もそのひとりだった。彼女は違法な行為だと自覚しながらも、臓器売買を行っている「ひまわりネット」の代表・深沢(新納慎也)に指定された病院へと向かう。
そこに待ち受けていたのが、本橋(道枝駿佑)から情報を得ていた進藤だった。彼の計画によって、ゆきのが臓器移植する道は閉ざされてしまう。しかし、実は進藤は裏で深沢と取引を行っていた。
娘のすみれ(堀越麗禾)の安全を確保するために、進藤はひとまず深沢を見逃す。この決断の背景には、彼の元妻である恭子(相築あきこ)の一件が頭にあったからかもしれない。進藤のパーソナルな部分も少しずつ露わになっており、決して家族を蔑ろにしているわけではないものの、娘と妻との間にある溝は想像していたよりも深刻なものだった。