史上最も泣ける海外アニメ映画は? 心震える感動作5選。大人も号泣必至…歴史に残るマスターピースをセレクト

text by 小室新一

愛する人との別れ、忘れられない思い出、そしてもう一度出会う奇跡——。人生の喜びと痛みを映し出す海外アニメ映画は、子どもだけでなく大人の心も深く揺さぶる。本記事では、涙が止まらなくなる感動作を5本厳選。それぞれの“さよなら”の先にある希望を、ぜひ体感してほしい。(文・小室新一)

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さよならは言わない―成長と別れに涙するおもちゃたちの物語

『トイ・ストーリー3』(2010)

トイストーリー
トイ・ストーリー【Getty Images】

監督:リー・アンクリッチ
脚本:マイケル・アーント
原案:ジョン・ラセター、アンドリュー・スタントン、リー・アンクリッチ
出演者:(日本語吹き替え版)唐沢寿明、所ジョージ、日下由美

【作品内容】

 ウッディやバズの持ち主であったアンディは成長して、17歳になった。大学に進学して、寮で生活するため、生まれ育った部屋を開ける準備をする。ウッディやバズたちは、アンディと別れてしまうのではないか、と不安になっているときだった。

 片づけをしているときの手違いで、ウッディたちはとある保育園に寄付されてしまう。保育園のおもちゃたちが彼らを歓迎してくれてバズたちは喜ぶのだが、ウッディはアンディのところへ帰りたいと願っていた。

 バズたちは賛同してくれず、一人で抜け出したウッディ。残ったバズたちに危険が迫っていることを知り、助けに戻るのだが…。

【注目ポイント】

 ピクサー・アニメーション・スタジオが誇る名作シリーズ『トイ・ストーリー』の第3作目。本作の製作総指揮を務めたのは、ディズニーやピクサーで数々の傑作を手がけてきたジョン・ラセター。ピクサー作品の中でも、とりわけ深い感動を呼ぶ一本として、今なお多くのファンに愛されている。

 シリーズ全体を通して描かれているのは、「おもちゃ」という視点から見た人間社会と、子どもたちの成長の物語。第1作の公開から約15年を経て登場した本作では、かつて『トイ・ストーリー』に夢中になっていた子どもたちが、主人公アンディと同じように成長し、おもちゃと離れていくという体験を重ね合わせることができる。だからこそ、この物語は世代を超えて共感を呼び起こすのだ。

 シリーズを通して一貫して描かれているテーマのひとつが、「物を大切にする心」。子どもは時に無邪気におもちゃを粗雑に扱ってしまうものだが、それでも大切にし続けたおもちゃには命が宿り、心のつながりが芽生える。『トイ・ストーリー3』では、そうした“物に宿る思い”が丁寧に描かれ、観る者に新たな気づきをもたらしてくれる。

 本作で特に胸を打つのは、ウッディが下す数々の決断の場面。その一つひとつが、涙を誘わずにはいられない。筆者自身も『トイ・ストーリー』と共に成長してきた世代として、この作品には格別の思い入れがある。親世代にとっては、自分の子どもの成長と重ねながら観ることができる作品でもあり、世代を超えて“感動の連鎖”が生まれることだろう。

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