史上もっとも危険な撮影を行なった映画は? 手に汗握る名作5選。100%リアル…ぶっ飛んだ描写が堪能できる作品をセレクト

text by 阿部早苗

一歩間違えば命の危険すらあった――。映画はファンタジーだけじゃない。今回紹介するのは、極限の自然や苛酷な条件の中、CGに頼らず魂を削って完成させた洋画5選。俳優とスタッフの執念が作り上げた、リアルが光る映像体験の裏側に迫る。(文・阿部早苗)

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高所×強風×虫地獄!塔の上で極限サバイバルに挑んだ命懸けの2人

『FALL/フォール』(2022)

グレイス・キャロライン・カリー
グレイス・キャロライン・カリー【Getty Images】

監督:スコット・マン
キャスト:グレイス・キャロライン・カリー、バージニア・ガードナー、メイソン・グッディング

【作品内容】

 夫を登山中の事故で亡くしたベッキーは、1年経っても悲しみに沈んでいた。親友ハンターは彼女を励まそうと、使用されていない超高層テレビ塔への登頂を計画。老朽化した梯子を登り、地上600メートルの頂上に到達するが、梯子が崩壊し2人は鉄塔の先端に取り残されてしまう。

【注目ポイント】

 地上600メートルという極限の世界を舞台に、2人の女性クライマーが過酷な状況に追い込まれるサバイバル・スリラー『FALL/フォール』。そのリアリティあふれる映像と手に汗握る緊張感は、命がけとも言える撮影の積み重ねから生まれた。

 本作の最大の特徴は、CGだけに頼らず実際の環境と構造物を活用した点にある。製作チームは、高さ30メートルに及ぶ鉄塔のセットを建設し、それを600メートル級の断崖の上に設置。主演のグレイス・キャロライン・カリーとバージニア・ガードナーは、高所での撮影においてスタントマンを使わず、ハーネスだけを頼りに自ら演技に挑んでいる。

 撮影現場は高温の砂漠地帯。灼熱の中、風速27メートルを超える強風に塔が激しく揺れ、撮影中断を余儀なくされる場面も。また、羽アリの大群がカメラや機材に襲いかかるなど、自然の脅威も容赦ない。ハンター役のガードナーは「本当に命がけだった」と語っており、その言葉が冗談でないことは映像からも伝わってくる。

 過酷な環境、俳優たちの命懸けの挑戦、そして最新技術の融合によって生まれた本作。その圧倒的なリアリティと臨場感は、まさに体験するスリラー映画と言っても過言ではない。

 現在はシリーズ化も決定しており、本作が単なるサバイバル映画にとどまらないことを物語っている。

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