『続・続・最後から二番目の恋』のラストはどうなる? シリーズファンが考える「理想の結末」とは? 第10話考察&感想【ネタバレ】

text by 菜本かな

小泉今日子&中井貴一がW主演のドラマ『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)が現在放送中。古都・鎌倉が舞台のロマンチック&ホームコメディ。前作から11年を経て、相変わらずの二人の距離感で流れゆく人生を見つめる。今回は、第10話のレビューをお届け。(文・菜本かな)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

——————————

“年齢”の呪いをかけているのは誰?

『続・続・最後から二番目の恋』第10話 ©フジテレビ
『続・続・最後から二番目の恋』第10話 ©フジテレビ

 もしかすると、“年齢”の呪いをかけているのは、自分ではなく周囲なのかもしれない。「もう〇〇歳なんだから、結婚しなよ」「〇〇歳なのに、そんな格好してて恥ずかしくないの?」なんて他者に言われる(または、ほかの人が言われているのを見る)ことで、どんどん呪いがかけられていく。

『続・続・最後から二番目の恋』第10話に登場した千明(小泉今日子)の親友・祥子(渡辺真起子)だって、還暦を目前とした今でも、現役で仕事をバリバリ頑張っていきたいと願っていたはずだ。しかし、部下たちがメッセージの“誤爆”をしてきたことで、「会社に行きたくない」と後ろ向きな気分になってしまった。

 誤爆の詳細は明らかにされていないが、おそらく「老害」「早く退職しろ」などという内容だったのだろう。

 千明も祥子も、若い時は上司に同じようなことを思ってきた。「アホ部長がさぁ〜」なんて、飲み会のネタにすることもあったのだろう。

 誤爆した人の気持ちが分かるからこそ、余計にしんどいのだと思う。「わたしたちも言ってたから、分かるんだよ」と共感の姿勢を見せながら、「でも、わたしたちも生きていかなきゃいけないじゃん」とつぶやいた祥子の背中は、いつもよりも小さく見えた。

歳を取るって、そんなに悪いことなのか?

『続・続・最後から二番目の恋』第10話 ©フジテレビ
『続・続・最後から二番目の恋』第10話 ©フジテレビ

 親友がやり切れない思いを抱えているので、千明のテンションも落ち気味に。そんな帰り道、千秋はばったり医師の成瀬(三浦友和)と出くわした。

 千明のことを狙っている成瀬としては、願ってもない展開だったはずだ。ここで、落ち込んでいる千明を励ましたら、逆転ホームランを打てる可能性もあったかもしれない。しかし、ここで「僕には治せそうもないなぁ。あなたが、いま会いたいのは僕じゃない」と和平(中井貴一)を呼び出す成瀬がカッコ良すぎる。

 いつものジャージ姿で駆けつけてくれた和平を見て、千明の心のダムは一気に溢れ出たのだろう。「歳を取るって、そんなに悪いことなんですかね?」「わたしたち、なんか悪いことしたんですかね?」「一生懸命生きてるだけなのになぁ…」といつものように饒舌に語り出した千明。

 長年、彼女を見てきた和平は、すぐに“何か”あると察したのだと思う。千明をギュッと抱きしめて、「泣いてもいいですよ。ぐしょぐしょになっても大丈夫」と言ってあげた和平、最高すぎました。

 大人のラブストーリーというと、ドロドロした展開や生々しい描写が目立つものが多いが、『最後から二番目の恋』シリーズは違う。なんだかいい雰囲気になったところで、「ジャージですから」と笑いを入れたりするから、視聴者もポップな気持ちで見ることができるのだと思う。

いつかのために、今はこのままで

『続・続・最後から二番目の恋』第10話 ©フジテレビ
『続・続・最後から二番目の恋』第10話 ©フジテレビ

 いよいよ、来週最終回を迎える『続・続・最後から二番目の恋』。シーズン1から、ずっとつかず離れずの距離感だった千明と和平は、どんな関係に落ち着くのだろうか。最終回を目前に、考察していきたいと思う。

 まず、最有力なのが、このままの関係で落ち着くパターン。

 第7話で、それぞれが「結論を出したくないっていうのかな。だから、楽しいっていうか」「現実にしちゃうと、楽しくなくなっちゃうんじゃないかなって」と語っている場面があったし、今までもなんだかんだでいい雰囲気になったまま終わっていたので、つかず離れず…というのがいちばんしっくりきそう(その方が続編が作りやすそうなので…という『最後から二番目の恋』シリーズファンの願望も込めて)。

 ただ、今までのシーズンと異なるのが、和平の娘・えりな(白本彩奈)が独り立ちをしようとしていること。鎌倉の海に流れ着くものでアートを作る海ゴミアートクリエイターをしているえりなは、彼氏とともにいろいろな海を飛び回ってみたいと思っているらしい。

どんな形にせよずっと笑っていてほしい

『続・続・最後から二番目の恋』第10話 ©フジテレビ
『続・続・最後から二番目の恋』第10話 ©フジテレビ

 和平も、「夢を持って、社会を軽やかに飛び回ってほしい」とその決断を後押ししている。しかし、えりながいなくなったら、和平は大きな喪失感を抱くことになるだろう。長倉家には、万理子(内田有紀)も住んでいるが、彼女の自立の時も刻一刻と近づいている気がする。

 これまで和平は、長倉家の長男として、そしてえりなの父親としての責任を果たすために、自分のことは後回しにしてきた。そんな和平も、今ではもう63歳。

 それこそ、本格的にセカンドライフについて考えなければならない時期がやってきている。えりなが家を出て、父親としての任務がひと段落したら、ようやく自分自身の幸せと向き合えるようになるのだろうか。そうなった時、千明との関係性を一歩進める勇気が持てるのかも…? 

 どんな形になるにせよ、千明と和平にはずっと笑っていてほしい。たまに喧嘩もするけれど、相手がピンチの時には真っ先に駆けつける。この2人は本当に理想的なカップルだと思う。千明と和平だけでなく、長倉家とその周囲の人々がハッピーオーラに包まれる最終回になることを願ってやまない。

【著者プロフィール:菜本かな】

メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。

【関連記事】
【写真】ラストは一体どうなる?…キャストの貴重な未公開カットはこちら。ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』第10話劇中カット一覧
かっこよすぎる…『続・続・最後から二番目の恋』が描くシニア世代に「負けたくない」と思うワケ。第9話考察&感想【ネタバレ】
涙なしには見られなかった…『続・続・最後から二番目の恋』が年齢問わず愛されるワケ。第8話考察&感想レビュー【ネタバレ】

【了】

error: Content is protected !!