あの大谷翔平とまさかのコラボ？偶然が生んだ奇跡の神シーンとは？『天久鷹央の推理カルテ』第8話考察レビュー【ネタバレ】

2025/06/18

text by 浜瀬将樹

橋本環奈が主演を務めるドラマ『天久鷹央の推理カルテ』（テレビ朝日系）。橋本演じる主人公・天久鷹央が、医学的な知見と診断能力を武器に、事件や現象を鮮やかに解決する本格医療ミステリーだ。今回は第8話のレビューをお届けする。（文・浜瀬将樹）【あらすじキャスト解説考察評価レビュー】

鷹央（橋本環奈）が大鷲（柳葉敏郎）に「詫びろ、詫びろ！」

　都議会議員・倉石奈津子（高島礼子）が、天医会総合病院に救急搬送された。病院長の天久大鷲（柳葉敏郎）は「私が執刀する」と名乗り出るだけでなく、助手がやる作業まで自ら買って出た。手術は無事終了。しかし、術後の容体は思わしくなかった。

　そんななか、入院している倉石が、このままだと大鷲に殺される。すぐに助けてほしい、と警察に通報した。刑事が話を聞くと「（大鷲は）私を利用して、この近くに建設予定だった総合病院の計画を潰した。週刊誌の記者が嗅ぎ回っている。だから口封じを…」とつぶやく。彼女は錯乱状態だった。

　その後も倉石は回復に至らず、むしろ悪化する一方。お手上げ状態となった大鷲は、とうとう鷹央へ正式に診断を依頼した。しかし、積年の恨みがある鷹央は、これまでのことについて「詫びろ、詫びろ！」、「頭を下げることもできないのか？」と煽る。完全優位に立ち、得意げな彼女だが、ここで大逆転が巻き起こる。

　大鷲は言う。万が一、倉石に何かあった場合、警察は大鷲を疑う。最悪の場合、病院の経営に影響が出ないよう院長を辞任しなければならない。となると、現在副院長の鷹央が院長となる。院長になれば、事務長で姉の真鶴（佐々木希）とは、常に顔を突き合わせることになるが…。

　それだけは避けたい鷹央は、慌てて倉石のもとへ。大鷲が一枚も二枚も上手だった、というわけだ。

高島礼子と柳葉敏郎の演技に酔いしれる

　倉石が病院を抜け出した。総出で探した結果、近くの公園にいるところを鷹央たちが発見。命を絶とうとする彼女に、倉石の地元・宮城県気仙沼市を訪れていた小鳥遊優（三浦翔平）が、倉石の過去を語り出す。

　20年前、地元で子供を産んだ倉石。産後に子供が危険な状態となったが、周りの病院の小児科は採算がとれず廃科となっており、遠く離れた県立病院に行くしかなかった。

　そこにいたのが大鷲である。大鷲も全力を尽くすも、助けることはできなかった…。地域医療の現実によって、小さな命がこぼれ落ちたのを目の当たりにしたふたり。「政治家」と「医者」。立場は違えど、自分の行くべき道を歩んだ同志だったのだ。

　鷹央たちのもとに到着した大鷲は、病院計画を阻止したのは事実である、と認める。しかし、その病院は小児科や産婦人科などを切り捨て、利益をあげやすい診療科のみの開発計画だった。

　そんなことになれば、天医会総合病院の経営状況は悪化してしまう。「必要な場所で必要な医療が受けられなくなる。（阻止したことについては）恥ずべきことなどひとつもない」とその想いを述べた。

　病院に戻ったあと、大鷲は鷹央の実力を認めつつ「彼女を頼む」と頭を下げた。そんな鷹央の力もあって、倉石は快方に向かったのだった。

　今回の第8話は、ベテラン俳優の存在が光った。大鷲に説得されて涙を流す倉石、プライドも何もかも捨てて、目の前の命を助けるために頭を下げた大鷲の医師としての想いなど、名場面は盛りだくさん。経験を積み重ねたからこその“深み”や“説得力”を感じただけでなく、登場人物の感情の機微、物語を彩る圧巻の演技に酔いしれた時間だった。