「責任の重さを感じました」宇佐卓真×平野宏周、刺激を受ける同世代俳優との共演。FODドラマ『被写界深度』インタビュー

text by 浜瀬将樹

正反対の2人が、少年から大人へと変わる狭間で揺れ動く…。ドラマ『被写界深度』が、6月20日(金)より、FODにて独占配信される。今回、W主演を務めた宇佐卓真さんと平野宏周さんにインタビューを実施。演じた目線で感じるキャラクターの魅力は? 初共演を経てのお互いの印象は? たっぷりと語ってもらった。(取材・文:浜瀬将樹)

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「二人の関係性が愛おしく映っていました」

平野宏周、宇佐卓真
左から)平野宏周、宇佐卓真。 写真:浜瀬将樹

ーーー第1話がいよいよ配信されます。完成作をご覧になって感じたことを教えてください。

宇佐卓真(以下、宇佐)「現場では二人の屋上シーンが多かったんですけど、屋上は水平線が辺り一面に広がっていてすごく綺麗で…。映像を通して見ると、より“二人だけの世界”になっていましたね。もちろんスマホでも良いのですが、なるべく大きい画面で見てほしいなと思いました」

平野宏周(以下、平野)「そうだよね。僕、まだスマホでしか見られていないので、今は“大きい画面でも見たい!”という強い欲望があります(笑)。それほど映像美を感じますし、二人の関係性が愛おしく映っていましたね」

ーーー確かに屋上のシーンは印象的でした。早川と紺野の雰囲気にも合っていましたよね。

宇佐「僕は役柄的に屋上だけが“自分の心を解放できる場所”だったので、苦しいシーンから屋上に出たときの開放感ある景色がもう最高で…。役としてはもちろん、宇佐卓真としても『うあ〜!』って興奮しました」

平野「スタッフさんがこだわって選んで下さった場所ですし、景色だけでも見ていられるので、“僕らいらないじゃん!”とすら思いました(笑)。それほど素敵でしたね」

「自分の心に嘘をつかない“紺ちゃん”に影響されている」

宇佐卓真
宇佐卓真 写真:浜瀬将樹

ーーーそれぞれ演じたからこそ感じるキャラクターの“好きなところ”を教えてください。

宇佐「早川は”ニコニコ王子”と呼ばれる程、周囲にいい顔をするのが当たり前になってしまっている人です。あそこまで自分を抑え込んでしまうことはないですが、僕自身も、仕事でご一緒する相手によっては、その人が居心地よく過ごせるように雰囲気を合わせたり、距離感を意識したりすることがあるので、共感できるところもありますし、そんな早川の器用じゃないところが愛おしく感じます」

平野「紺野は我が強いところがあるし、自分の感情を大事にするし、嘘をつかないタイプ。頭で考えるより、自分の心のままに行動しているところが素敵だなって思います」

ーーーでは逆に、宇佐さんは紺野、平野さんは早川について、どうご覧になっていましたか?

宇佐「撮影後、自分の心に嘘をつかない“紺ちゃん”に影響されているなと思うことがありました。先日、たくさんの人が行き交う道端で泣いている方がいたんです。声をかけようか数分悩んだあと、とりあえず水を買って渡そうとしました。でも、コンビニで水を買って出た瞬間、別の人が水を渡していてるところを見て、ふと我に返って少し恥ずかしくなりその場から離れました(笑)。紺ちゃんだったらすぐに声をかけただろうし、普段の僕なら躊躇してできなかったことだなと。知らぬ間に影響を受けていたんだな、と思う出来事でしたね」

平野「物語のなかで早川が悩んでる姿も、試行錯誤して役づくりをしている宇佐卓真も見てきましたが、苦悩する姿が本当に美しいし、人間らしくもあって素敵だなと思いました。キャラクターとしてはもちろん、俳優の宇佐くんとしても感じることですが、考えて、悩んで、進んでいくのも二人の魅力なのかと思います」

「言葉にピュアさを持たせたい」
役づくりについて

平野宏周
平野宏周 写真:浜瀬将樹

ーーー早川と紺野の関係性についてはどんなことを感じましたか?

宇佐「早川視点で言うと、第1話の段階で自分の“気持ち”には気づいていると思うんです。でも確信は持てないし、かと言って確信を持ちたいわけでもない。いろんな迷いがあるなかで、紺ちゃんとの気まずい時間もある…。ただ、見ている側としては、そうした気まずい方が盛り上がるというか、応援したくなる距離感なのかなと思います」

ーーーその距離感が縮まるかどうかは、ヤキモキするところですし、見ていて面白いところでもあります。

宇佐「そうですね。早川の“心の距離”が見える作品でもあるので、そういったところも楽しめると思います」

ーーー紺野さんは二人の関係性をより明確にするため、意識したことはございますか?

平野「現場では、距離感や関係値を無にしようと考えていました。“ブレない紺野”の周りを早川が追いかけたり、遠ざかったり…ぐるぐる回る感じにしたいと思っていましたね」

ーーー早川には音楽を捨てた過去があります。今後、その理由が明かされていきますが、彼の過去に触れたとき、どんなことを思われましたか?

宇佐「仕方のない部分もありますが、本当に不器用な人だなと思いました。もっといろいろな方法があったはずなのに、おそらく、早川には辞める選択肢しかない状況だった。ただ、そのおかげで、紺ちゃんと出会えるし、大切な人が、“自分のやりたいこと”を心から応援してくれる素晴らしさにも気づけるので、過去は過去で、あの時間も大事だったんじゃないかなって思います」

ーーー平野さんがおっしゃったように、紺野にはブレない印象があります。どのように役づくりをされていったのでしょうか?

平野「『この台詞をどういった気持ちで言ったらいいのか分からない』と相談したとき、監督から『多分、紺ちゃんは考えてないんだよね。みんな頭で考えたり、何かを感じて言葉を発したりするけど、紺ちゃんはその感情が1ターンない。そこは考えなくていいんじゃない?』って言われたんです。そこで、紺ちゃんの“心情の変化”を探るよりも、言葉にピュアさを持たせようと思いました」

「また一緒にお芝居をしたい」
刺激を受けた初共演

宇佐卓真、平野宏周
左から)宇佐卓真、平野宏周。 写真:浜瀬将樹

ーーー今回、初共演のお二人。お互いの印象を教えてください。

宇佐「もともとを知らないから言い切れないですが(笑)、ずっとナチュラルなんですよ。撮影が始まる前に二人でお会いしたんですけど、こっちは“何を話したらいいの?”とアタフタしているのに、まったく動じていないんです」

ーーー(笑)。

平野「『どうしよう。せっかく会えたのに質問が思いつかない!』って言ってたから『無理して喋んなくていいよ』と返してね」

宇佐「そうそう(笑)。面白い一面だったり、可愛らしい一面だったり、一緒に過ごすなかで見えてくるものもありましたが、僕が“すごくいいな”と思ったのが、多分何もしなくても人に好かれるタイプなんですよ。話していても早い段階で興味を持っちゃうんです。それは紺ちゃんと重なる部分でしたね」

平野「愛でたくなるし、可愛らしいし、ワンちゃんみたいな方ですね。ただ、外は可愛らしい印象で覆ってるんですけど、中身はカッコいい部分もあるんです。演技に対して、ブレずに『僕はこう思います』と意見を言える人なので、真っ直ぐで素敵だなと思いました」

ーーーお二人は同世代。同じ作品で切磋琢磨できるというのは、刺激を受けるものですか?

宇佐「そうですね。特に撮影の最初の方は、僕が力んじゃっていたんですけど、平野くんは自然体で隣にいてくれて、静かに支えてくれました。お芝居を通して刺激を受けながらもどこか安心できて、気づいたら信頼しきっていましたね」

平野「嬉しいですね。僕は、今回の現場でものすごく刺激を受けました。宇佐くんが中心となってスタッフさんと話したり、雰囲気を作ってくれたり、ということを今回の現場でやってくださったんですよ。それを見たときに、(主演としての)責任の重さを感じましたし、純粋に演技を見て『負けないように!』とも思いましたし、終わったころには、また一緒にお芝居をしたい気持ちも湧いてきましたね」

【著者プロフィール:浜瀬将樹】

1984年生まれ。フリーランスの編集・ライター。映画、ドラマ、バラエティー番組の会見取材、俳優さんや芸人さんなどのインタビュー、ドラマや俳優さんのコラム、お笑いのライブレポートなど、エンタメ系を中心に執筆している。

宇佐卓真さん
ジャケット3万5200円、パンツ3万800円/ともにナノアット(ジョワイユ 03-4361-4464)、その他 スタイリスト私物

平野宏周さん
Hair&Make 菊地倫徳
Styling 松平浩市
ジャケット8万8000円、パンツ4万7300円/ともにマーカウエア(パーキング 03-6412-8217)
ニット4万6200円/C.P.カンパニー(C.P.カンパニー 渋谷店 03-6434-1126 )
シューズ10万1200円/パラブーツ(パラブーツ青山店 03-5766-6688)

【作品概要】

『被写界深度』(全6話)

配信:2025年6月20日(金)20時~1、2話独占配信開始 以降毎週金曜日20時最新話配信
※1話無料配信
※配信日時は予告なく変更となる場合があります。予めご了承ください。
出演:宇佐卓真、平野宏周 ほか
原作:苑生「被写界深度」(大洋図書)
監督:川崎僚、平井淳史(4話)
脚本:一戸慶乃
音楽:阿南亮子
プロデューサー:中村美香(ポニーキャニオン)、荻原麻衣(ポニーキャニオン)、
鹿内植(フジテレビ)、中山ケイ子(FCC)、溝口道勇(FCC)
制作プロダクション:FCC
製作:「被写界深度」製作委員会
オフィシャルページ
配信ページ
公式Instagram
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【了】

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