史上もっとも危険な撮影を行った海外映画は?(3)骨折して苦痛に耐える様子を劇場で公開…あくなき限界への挑戦
一歩間違えば命の危険すらあった――。映画はファンタジーだけじゃない。今回紹介するのは、極限の自然や苛酷な条件の中、CGに頼らず魂を削って完成させた洋画5選。俳優とスタッフの執念が作り上げた、リアルが光る映像体験の裏側に迫る。第3回。(文・阿部早苗)
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「全部自分でやる!」トム・クルーズ、限界突破のスタント伝説
『ミッション:インポッシブル』シリーズ
キャスト:トム・クルーズ、ヘンリー・カヴィル、レベッカ・ファーガソン
【作品内容】
主人公イーサン・ハントがIMFの一員として、不可能と思われる任務に挑むスパイアクション。裏切りや陰謀が渦巻く中、チームと共に世界の危機を救う。
【注目ポイント】
トム・クルーズの驚異的なスタントと過酷な撮影で知られている世界屈指のアクション映画『ミッション:インポッシブル』シリーズ。作品のリアリティを追求するため、トムは命懸けのスタントをすべて自ら演じ続けており、その姿勢は世界中の映画ファンを魅了している。
たとえば、『フォールアウト』(2018)の撮影ではビル間を飛び越えるシーンでは足首を骨折。その瞬間を収めた映像は劇中でも使用され、骨折後も苦痛に耐えながら走り抜ける姿がカットされることなく残されている。
そして『ローグ・ネイション』(2015)では、飛行機のドア外側に実際にしがみつき、上空1500メートル以上に及ぶ過酷なシーンでは撮り直しで8回も飛行。他にも、水中シーンでは6分間も潜ったという。
さらに『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』(2023)では、断崖絶壁の上からバイクでダイブし、パラシュートで滑空するという映画史上最も危険とも言われるスタントにも挑戦。この撮影のために1年以上かけてパラシュート訓練を重ね、500回以上のスカイダイビングと13,000回以上のモトクロスジャンプを実施している。
最新作では北極圏のスヴァールバル諸島での過酷なロケが大きな話題となった。マイナス40度という極寒の中、トムは凍傷寸前の状態で撮影に臨んだ。
今回紹介したのはほんの一部のエピソードに過ぎないが、このようにCGやスタントダブルに頼らず、自ら挑み続ける姿勢こそが、『ミッション:インポッシブル』シリーズの真髄だ。シリーズは、トム・クルーズの限界を超えた挑戦と映画制作への深い情熱によって支えられている。
(文・阿部早苗)
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【了】