予想を覆した衝撃のラストに「はー!?」 何度も巻き戻して観てしまった名シーンとは?『ダメマネ!』最終話考察&感想【ネタバレ】
川栄李奈主演のドラマ『ダメマネ! ーダメなタレント、マネジメントしますー』(日本テレビ系)が現在放送中。本作は、毒舌の新人芸能マネージャーが崖っぷちタレントたちのために奔走する人生リベンジコメディ。今回は、最終話のレビューをお届けする。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 感想 レビュー】
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1人の人間の人生に向き合う
『ダメマネ! -ダメなタレント、マネジメントします-』が最終回を迎えた。感動のシーンや恋愛要素を盛り込みながらも、最後は川栄李奈演じる神田川美和とともに、盛大に「はーーーっ!?」と言えるラストだった。好みは分かれるだろうが、このドラマらしくて、これはこういう作品で、とてもよかったんじゃないかと思う。
伝説の女優・朝倉紫乃(寺島しのぶ)が舞台「愛おしい子」への出演を決めるも、本番までの日数が少なく稽古が足りない。しかも、紫乃が引退してからの年月も相当経っているためか、チケットの売れ行きも悪かった。
犀川(安田顕)は集客力のある真田祐士(山田涼介)を舞台に出演させるよう提案するが、真田のキャリアを考えて、美和はそれを突っぱねる。しかし、なんとか迎えた舞台初日、紫乃は練習のし過ぎで足を骨折してしまう。これにより初日は中止となってしまうのだが、2日目以降は舞台に立つと言って聞かない。
そんな折、真田は元マネージャーの玲子(吉瀬美智子)が保管していた資料のなかから、自分に関するおびただしい数のスクラップを発見する。そこには、幼い頃からの真田の成長と、その努力に対する励ましの言葉が丁寧に書き込まれていた。
しかも、それがどうやらつい最近まで続いていたようなのだ。これが、タレントとマネージャーのひとつの形なのかと面食らった。ここまでの熱量を持って、1人の人間の人生に向き合う。なんと特殊な仕事なのだろう。
そして、そのなかには、「愛おしい子」に真田が出演することに対する玲子の想いも書き込まれていた。それを見た真田は、美和に舞台に出させてくれるようにお願いする。自分たちの都合で出演してもらうことに迷いがあった美和は、真田の言葉を受けて改めて「この作品には、真田くんが必要です」と依頼する。
本ドラマ屈指の名シーンが誕生
犀川の策略により真田のスケジュールがダブルブッキングしてしまうという障壁もあったが、美和は「まずは願いを共有する。タレントとマネージャーはそこからでしょ」と、真田の願望を尊重する方法を模索する。美和の成長を感じたが、これは、かつて犀川が美和に対して言った言葉だったらしい。
マネージャーとしてあるべき姿を、美和はずっと前に、犀川からたくさん示してもらっていたのだろう。だからこそ、犀川にとって、“オオサンショウウオ事件”で美和のキャリアを閉ざしてしまったことは心残りだったはずだ。
美和の逞しい姿を見て、憑き物が落ちたかのような表情を浮かべた犀川は、過去を清算すべく、記者の水島(岩崎う大)に自身が行ってきたことがパワハラであるとリークし、責任を取って会社を去ることを表明する。
犀川の目論見を知った美和は、「辞めないでよ」と必死に止めようとする。この川栄李奈と安田顕のやりとりは、今作屈指の名シーンといっても過言ではないだろう。
大粒の涙を流しながらゆがむ表情、嗚咽しながら言葉を絞り出す様子、眼鏡を外して両手で顔を覆う仕草…。それを目の当たりにし、思わず天を仰いで堪える様子。そこには本気の涙があった。少なくともそいう風に映ったし、だからこそ非常に胸を打たれた。
ここだけではない。最終話の序盤で紫乃と芝居の稽古をする美和の涙もまた、観る者の心を動かすものだった。コメディが得意な俳優だとばかり思っていたが、川栄は涙も一級品だ。
ドラマを支えた川栄李奈の好演
結局、TOYOプロはSEKAIプロへと社名を変え、美和は芸能4部の部長に就任。そして、TOYOプロを去ったはずの犀川は、海外支部の部長として、どうやら韓国にいるらしい。あの涙の別れは何だったのかと、美和とともに盛大に「はーーーっ!?」と言ってしまったが、これもまたこの作品らしさだろう。
そして、“叶えない恋”を選んだ美和だったが、真田の海外進出に伴い離れ離れになってしまうことに。別れを惜しむ美和に、真田は「俺の光が世界に届いたら、また日本に戻ってくる。そのときは結婚しよう」とまさかのプロポーズ。叶えない恋って一体なんだったのか…と思いつつ、2人が幸せそうなので、もう何でもOKだ。
振り返ってみれば予想を裏切らない賑やかなドタバタ劇で、俳優陣の好演があってこそ成立する作品だった。
そのなかにあって、やはり川栄の存在は大きい。怒りながら、泣きながら、感情をむき出しにして、時にかわいく(最終話の「王子様―!」は何回か巻き戻して観てしまった)美和を演じ切ってくれたことに感謝したい。
願わくば、ここから部長として成長していく美和の姿も覗かせてほしいところだ。
【著者プロフィール:あまのさき】
アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。
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