「可愛さを捨てて挑んだ」映画『2025年7月5日午前4時18分』AKB48・小栗有以が明かす役作りの裏側。インタビュー

text by ZAKKY

2025年7月5日に大きな災難が起こるというインターネットで広まる噂をモチーフに描いた都市伝説ホラー映画『2025年7月5日午前4時18分』が、6月27日(金)より公開中だ。今回は、主演の小栗有以さん(AKB48)にインタビューを敢行。役作りや、アイドルとしての経験が活かされたシーンについてなど、たっぷりお聞きした。(取材・文/ZAKKY)

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“可愛さ”を捨てて挑んだリアルな表情

小栗有以 写真:Wakaco
小栗有以 写真:Wakaco

ーーー脚本を最初に読んだ際の印象は、いかがでしたか?


「これまで私は、気持ちを言葉で伝える作品に多く携わってきたので、セリフがなくても想いを伝えるという点で、あらためて“表情の力”の大切さを実感しました。画面がどう切り替わって、どんなふうに映し出されるのか。その感覚もこれまでにない新鮮さがあって、自分にとってまさに新しい挑戦だったと思います」

ーーー本作で演じたハルカという役に対して、どのような意識で臨まれましたか?


「ホラーということもあり、言葉よりも表情や動きで感情を伝える作品なので、普段は気を配っている“セリフの言い回し”ではなく、表情をどう見せるかに意識を集中させました。

撮影に入る前には、表情筋をしっかりほぐして準備していましたね。普段、アイドルとして活動しているときは“いかに可愛く見せるか”を意識していますが、驚きや衝撃、悲しみ、そして恐怖といった感情をどう表現するかが大変でした」

ーーー表情を作ることは、やはり大変でしたか?


「アイドルとしての自分を一度手放し、“ハルカ”として役に入り込むよう心がけましたが、普段は笑顔でいることが多いので、怖がったり驚いたりといった感情の表情を作るのは難しかったです。なので今回は、鏡を見るのではなく、マネージャーさんに見てもらいながら練習しました」

監督が追加した“泣くシーン”の裏側

小栗有以 写真:Wakaco
小栗有以 写真:Wakaco

ーーー逆にアイドルであることで、役に立ったことはありますか?


「普段から握手会などでたくさんの方とお話ししているので、誰とでも臆せず話せる力が現場でも活きていたと思います。監督とも自然に会話できたからこそ、役や作品についてもしっかり話し合うことができました」

ーーー古川大晃監督とは、どのような会話がありましたか?


「監督に、結末や、“赤い女性”は何者なのか? ということを最初に伺ったのですが、『ぜひみんなで考えてほしい』と、おっしゃっていました。監督の中には、ビジョンがあるようですが、演じるに私たちにも、観客にも、それぞれの解釈を楽しんでほしいという意図があるそうです。見る人の視点によって受け取り方が変わるので、その“余白”こそが、本作の魅力のひとつなんだと、私も演じながら思いました」

ーーーハルカは、涙を流すシーンも多かったですよね。


「物語の序盤に、涙を流すシーンがあったのですが、それを監督に気に入っていただけたようで、その後、もともとなかった“泣くシーン”を新たに追加してくださったんです。驚きましたし、とても嬉しかったです」

印象に残った2つの場面

小栗有以 写真:Wakaco
小栗有以 写真:Wakaco

ーーー演じていて特に印象に残っているシーンは、ありますか?


「印象に残っているのは、ハルカの家に何者かが来て、ドアノブをガチャガチャと回すシーンです。2シーンほどありましたが、あの“ガチャガチャ”という動作は、古川監督が自ら演じていたんです。実際に動きを入れてくださったことで、私も自然なお芝居ができましたし、“みんなで一緒に作る”という現場の空気の大切さを改めて実感しました」

ーーーなるほど。


「役柄としては、常に疲れていたり、恐怖を感じている場面が多かったので、逆に家族と一緒にいるシーンはすごく楽しく演じることができました。両親と一緒にオムライスを食べるシーンや、海辺でお母さん(佐藤里穂)と話すシーンなどは、穏やかで温かい時間を表現できて、私自身も気持ちが和らぎました」

ーーー確かに海辺のシーンは特にグッときました。


「あのシーンは1番、ハルカに入り込めたと自分でも思います。私も家族のことを思い出したり、母親の温かみを感じて、すごくポカポカしました」

ーーー母親役の佐藤里穂さんの印象は、いかがでしたでしょうか。


「佐藤さんとは、今回が初対面でしたが、スッと私の懐に入ってくるような、『あ、お母さんだ』と思えるほど安心感がありました。佐藤さんは、“お母さん”という役は、ほぼ初めてだったらしく、『ゆいちゃんのお母さんになれるか不安だった』と、おっしゃられていましたが、そんな不安をまったく感じさせないくらい素敵なお母さんでした。私としてはとても演じやすかったですし、子どもの気持ちに自然となれたので、とても感謝しています」

「その場で生まれる気持ちを大切に」
演技アプローチの変化

小栗有以 写真:Wakaco
小栗有以 写真:Wakaco

ーーーハルカの父親役である、船ヶ山哲さんとの共演シーンはいかがでしたか?


「船ヶ山さんはアドリブがとてもお上手で、監督もなかなかカットをかけないんです。そのおかげで、ハルカが両親と過ごすシーンでは、私も自然と“ハルカとしての言葉”が口をついて出てきました。演じていてとても勉強になりましたし、『ハルカになれている』という感覚がありました」

ーーーアドリブのお芝居は新鮮でしたか?


「そうですね。セリフ自体は決まっていますが、それに加えて各々が言葉を足していく作業がすごく楽しかったです。自分のアドリブが監督に採用されたときは、素直に嬉しかったです」

ーーー逆に、あえて練習しなかったことで、かえってリアルな息づかいや臨場感につながったのかもしれませんね。


「そう思います。AKBとしてアイドル活動をしていることもあり、『何かをきっちり覚える』という意識が自分の中に染みついていたんです。でも今回のお芝居を通して、それとはまったく違う世界なんだなと強く感じました。いろんな俳優の方とお話しする中でも、『相手によって動きが変わるから、あまり決めない』とおっしゃっていて、その言葉がすごく印象に残っています」

ーーー興味深いです。


「最初は、『自分にはまだそこまでできない』と思っていたんです。でも、いろいろなお芝居を経験させていただく中で、『あのとき、あの方が言っていたことって、こういうことだったんだ』と腑に落ちる瞬間があって。そこから、私も決め込みすぎず、その場で生まれる気持ちに従って動くようになりました。お相手の演技に、たとえ固定されたセリフでもアドリブでも、心を動かされたときに自然と出てくる感情こそが、自分の中で“本物の演技”だと思えるようになったんです」

「観れないじゃなくて観て!」
ホラー嫌いのファンを全力で説得

小栗有以 写真:Wakaco
小栗有以 写真:Wakaco

ーーーハルカというキャラクターと、ご自身が似てる部分はありますか?


「ハルカは、よく食べるキャラクターなんですが、私も食べることが大好きで(笑)。そういった点では、『自分が出てしまってるかも』と思うこともありました。それから、ハルカの影響でオムライスが好きになって、撮影後も食べるようになりました(笑)」

ーーーそれは、外食で?


「お店もそうですし、仕事上のお弁当で、オムライスに目がいきますね。今までだったら魚系のお弁当を選ぶんでいたのですが。あと、自分でも、ふわふわのオムライスが作りたくて、Youtubeで調べて、いっぱい練習しました(笑)」

ーーーところで、ホラー映画を観るのは、お好きですか?


「実は私、ホラーって苦手なんですよ(笑)。この間の握手会で、ホラーが苦手なファンの方に『出演は嬉しいけど、怖くて観れない…ごめんね』って言われてしまって。でも、『わかる! 私も怖いの苦手だから!』って共感しつつ、『でも、観れないじゃなくて観て! 私が出てるから大丈夫だよ!』って、全力で説得しました(笑)」

ーーーそのファンの方の感想が気になりますね(笑)。小栗さんは、本作のモチーフになっているような都市伝説はお好きですか?


「昔から興味があります。コックリさんとか、トイレの花子さんとか、よくやってました。あと、河童がなぜか好きで、今でも存在すると思っています(笑)」

ーーー最後に、本作への思いをお聞かせください。


「本作は都市伝説を題材にした物語ですが、ホラー的な怖さだけでなく、人間の怖さや、逆に優しさも描かれていて、いろんな要素が詰まっています。ぜひ、考察しながら観ていただきたいですし、観て感じたことや気づいたことを、むしろ私たちに教えてもらえたら嬉しいです。そして、7月5日には、もしかしたら“何か”が起こるかもしれません…防災の意識を少しでも高めてもらえたらと思います」

(取材・文/ZAKKY)

ヘアメイク:ITATSU(is)
スタイリスト:大友洸介

<衣装協力>
ワンピース:COCO DEAL/ココ ディール ¥17,600(税込)
ショートパンツ:COCO DEAL/ココ ディール ¥13,200(税込)
イヤリング:STELLAR HOLLYWOOD/ステラハリウッド ¥11,000(税込)
リング:STELLAR HOLLYWOOD/ステラハリウッド ¥12,100(税込)
ソックス、シューズ:スタイリスト私物

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【了】

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