「演じたいという渇望感はなかった」ドラマ『死ぬほど愛して』成宮寛貴が8年間の空白と俳優業復帰への決意を語る。インタビュー
ABEMAオリジナルドラマ『死ぬほど愛して』が5月15日(木)に大きな反響とともに最終回を迎え、現在も第1話~3話は無料見逃し配信中だ。今回は、本作で主演を務めた成宮寛貴さんにインタビューを敢行。城定秀夫監督との撮影の裏話や、8年ぶりに俳優復帰を決意したきっかけ、自身の変化についてたっぷりとお聞きした。(取材・文:タナカシカ)
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原作者・天樹征丸との再会が生んだ新たな挑戦
―――本作は成宮さんにとって、8年ぶりの俳優復帰作となりました。原作の天樹征丸先生からのラブコールがあって今回のオファーをお受けになられたということですが、どのようなお話があったのでしょうか?
「海外で生活をしていましたが、日本に帰ってきたタイミングにプライベートで天樹先生とご飯に行く機会がありました。その帰りに『ぜひ演じてほしい役がある』とお声がけいただいたのが、そもそもの始まりです。でも当時の僕は、俳優として復帰する覚悟が固まっていなかったので、このお話が本当に実現するとは思いませんでした。
原作をいただいてから作品については、3年ほど進展がなく、その3年で僕も成宮寛貴として動きだせるよう、少しずつ環境が整い始めていた時に、オファーを本作の連絡をいただいたので『光栄です。是非やらせてください』と、ありがたく引き受けました」
―――天樹先生の作品は、『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系、2014)、『ブラッディ・マンデイ』(TBS系、2008)にも参加されていますね。プライベートでも親しくされているとのことですが、天樹先生から信頼を寄せられているんですね。
「そうですね。でも、クランクイン前に『そろそろ始まります』とメールでやりとりしただけで、作品に入っていた期間はまったく話をしていません。作品に入っているときに原作者の方と話すことをあまりしないですね」
―――ご自身が解釈された神城真人像と、天樹先生が考える真人像をすり合わせることもされなかったのでしょうか?
「原作がある作品だと、原作者の方が“答え”みたいな考え方が多いですが、観る人それぞれが自由に解釈できるように、原作と映像作品が強くリンクしすぎないよう配慮したいと考えています。だから本作でもあまり連絡は取っていませんでした」
城定秀夫監督との初タッグ
―――城定秀夫監督作への参加は今回が初めてだと思いますが、撮影中の演出についてお聞きできますか?
「クランクイン前に、僕が演じる神城真人についてお話をしましたが、撮影中は何も言われなかったんです。NGもあまり出さないので、『本当に大丈夫かな?』と思いながら演じていました(笑)。自信がない時は自分から手を挙げて言っていました」
―――城定監督は、段取りで決めたカットしかお撮りにならないそうですね。「巻いて終わる」とお聞きしたことがあります。
「巻きすぎ(笑)。僕も復帰作なので、『ここはこうしましょう』と、話し合いながら長くなるかな? と身構えていたのですが…ドラマの撮影現場って、だいたいモニターのところに監督やプロデューサー、音声さんがいらっしゃって、モニターで確認するのが普通なのですが、モニターもないし、城定監督は現場にいらっしゃいました(笑)。
あと、監督に対して失礼かもしれませんが、城定監督は可愛い一面もあって。城定監督がたまに欠伸する姿などを見れると心が和みました。ふわふわの動物を見ているような」
俳優業を休んで得た視点
―――本作は成宮さんにとっては8年ぶりの俳優復帰作となりましたが、この8年間でお芝居をしたい、役を演じたいという渇望感はありましたか?
「パンっと弾けるように離れたので、不思議なことに、演じたいという感情はありませんでした。なおかつ、すんなり始まった感覚です。今ある感情としては、『また芝居をやるのかな? でも今、台本を開いたら昔とは違う芝居ができるのかな?』と自分に対して期待感があります」
―――お芝居から離れていた8年間は、そこまで意識されてなかったんですね。本作のお話がきてから決意されるまで、色んな葛藤があったと想像しますが、きっかけや背中を押された存在はありましたか?
「そこまでっていうか全然なかったです。俳優という仕事から長く距離を置いていたので、またこのような機会をいただけたことを光栄に思っています。俳優業を離れてから8年も経っていて、僕のInstagramでしか情報を公開していない状態にも関わらず、その頃からメディアの方々が取り上げてくださっていたこと、ファンのみなさんからの温かい声をいただいたりして。『ああ、期待してくれている』という気持ちが決意するきっかけになりました」
―――役者業をお休みされていた8年間、映画やドラマの現場を離れることによって、見えた部分があったのではと想像するのですが、いかがでしょうか?
「そうですね。自分が大切にしてきたものや日本での生活から一度離れることによって、今まであった物差しが変わった感覚はあります。改めて『日本ってどんな国なんだ?』『そこに住む自分ってどんな人?』と考えることができました。それを経て今の自分があると思います。自分の人生の経験すべてが、俳優としての仕事に繋がれば嬉しいです」
(取材・文:タナカシカ)
【「ABEMA」オリジナルドラマ『死ぬほど愛して』作品概要】
「ABEMA」にて見逃し配信中(全8話)
放送チャンネル:ABEMA SPECIAL チャンネル
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■キャスト
成宮寛貴、瀧本美織、細田善彦、久間田琳加、片桐仁、松井玲奈、田中美久、しゅはまはるみ、粟大和、袴田吉彦・山口馬木也、筒井真理子 他
■スタッフ
製作:藤田晋
原作:天樹征丸/漫画:草壁エリザ/「死ぬほど愛して」(光文社 刊)
企画・監修:樹林伸/樹林ゆう子
プロデューサー:小林宙/金山宇宙/柴原祐ー
脚本:ねじめ彩木/髙橋幹子/吉﨑崇二
音楽:海田庄吾
主題歌:.ENDRECHERI./堂本剛「super special love」Sony Music Labels Inc.
監督・脚本:城定秀夫
制作プロダクション:ダブ
製作著作:ABEMA
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【了】