漫画『善悪の屑』&『外道の歌』作者・渡邊ダイスケが愛する映画(1)。不気味さが脳裏に…史上最高級の犯罪映画
各界で活躍する著名人に「人生に影響を与えた映画」をセレクトしてもらい、その魅力を語ってもらうインタビュー企画。今回登場するのは、漫画家の渡邊ダイスケさん。シリーズ累計発行部数580万部以上突破中の『善悪の屑』~『外道の歌』が各界で話題沸騰中。このヴァイオレンス・ヒューマンドラマを読んだことがある人であれば、どんな人が描いているのか?と気になっているはず。そんな渡邊氏に好きな映画について存分に語っていただいた。今回は第1回。(取材、文・ZAKKY)
●スティーヴ・ブシェミの不気味さが脳裏に焼きつく。タランティーノ監督の処女作
『レザボア・ドックス』(1992)
―――失礼かもしれませんが、いきなり渡邊さんらしいバイオレンス映画が挙がりました。
「はい。でも、他にセレクトした作品を見てもらえば、暴力映画ばかりが好きなわけではないということがわかりますよ。僕の父親も映画好きだったのですが、趣味はかなり偏っていましたね。初めて親子で観に行ったのが、刑務所を舞台にした群像劇『塀の中の懲りない面々』(1987)。『仁義なき戦い』のVHS を家族で鑑賞したり(笑)」
―――イメージ、そのままじゃないすか(笑)。
「いえいえ、あくまで、そういうジャンルの映画を親が好んでいたってだけの話ですから。話を『レザボア・ドッグス』に戻しましょう(笑)。映画は、銀行強盗を間近に控えた主要キャラクターたちの、どうでもいい会話から始まります。マドンナの『ライク・ア・ヴァージン』についてのウンチクが語られるのですが、本筋とはまったく関係がない。意外性のある導入部から、何が始まったの!? と思わせる演出が上手いと感じます。あとは、とにかくセリフ回しが面白いですよね」
―――タランティーノ監督は、当時から頭ひとつ抜けていましたよね。
「ええ。特にミスター・ピンクに扮したスティーヴ・ブシェミはとても不気味で、強く印象に残っています。当時よく一緒に遊んでいた仲のいい先輩が、スティーヴ・ブシェミにそっくりだったんですよ(笑)。髪型なんかが特に」
―――(笑)。そんなところにも、思い出が!
「あと、この作品は、僕が好きな部分である会話劇の内容や言葉づかいが過激すぎるためか、地上波ではほとんど放送されていないはずです。『パルプ・フィクション』も同様だったかと思います。その辺もすごく攻めていますよね。大好きな作品です」
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