漫画『善悪の屑』&『外道の歌』作者・渡邊ダイスケが愛する映画(4)母親が叫ぶセリフに衝撃…笑える要素満載の傑作ホラー
各界で活躍する著名人に「人生に影響を与えた映画」をセレクトしてもらい、その魅力を語ってもらうインタビュー企画。今回登場するのは、漫画家の渡邊ダイスケさん。シリーズ累計発行部数580万部以上突破中の『善悪の屑』~『外道の歌』が各界で話題沸騰中。このヴァイオレンス・ヒューマンドラマを読んだことがある人であれば、どんな人が描いているのか?と気になっているはず。そんな渡邊氏に好きな映画について存分に語っていただいた。(取材、文・ZAKKY)
●母親が叫ぶセリフに衝撃を受けた。笑える要素満載の傑作ホラー
『死霊のはらわたII』(1987)
―――サム・ライミ監督によるスプラッターホラーの古典的名作ですね。
「中学生の頃にテレビの深夜放送で観たのが最初ですね。ビデオ録画をしたのですが、テープが擦り切れるほど鑑賞しました。この作品に関しては、日本語吹き替え版のセリフ回しに惹かれました」
―――特にハマッたセリフとは?
「ヒロインの母親が死霊に取り憑かれて、地下室に閉じ込められるんですね。で、開く扉から顔を出して、最初はキツい言葉でまくし立てながら、何とか出ようともがくのですが、いきなり、娘との思い出話を語りはじめるんですよ。『あの時は、あんた、熱を出して大変だったのよ』とか。いや、そんな意思疎通ができるなら、死霊に取り憑かれている状態でも大丈夫じゃないかって思うんですよ(笑)。正常時と変わらないじゃんって」
―――アハハ!そうですよね~。
「あと、何と言っても強烈なのが、母親が叫ぶセリフです。一瞬優しくなった母親がその後、再びゾンビのような顔になって『朝までに死ね!』って叫ぶんですよ。そのフレーズに、強烈に心を掴まれました(笑)。当時、学校でも本作が好きな友人とよく言い合っていましたね」
―――中学生ですなあ~(笑)。ホラー映画における笑える要素に強く惹かれたのでしょうか?
「ホラーのサブジャンルにもよりますが、この作品はそうかもしれません。例えば『リング』のような作品は、笑い一切なしで、怖い思いをしながら鑑賞しますが、本作の楽しみ方は、それとはちょっと違いますね。何度も観ていますが、怖いと思ったことはないですからねえ」
―――ホラーと言えば真っ先に思い浮かぶ『13日の金曜日』。この作品はどう思いますか?
「あの作品は得体の知れない殺人鬼がもたらす恐怖を描いていますよね。ちなみに『外道の歌』の主人公・カモは、ジェイソンをイメージしています」
―――ああ!なるほど。
「問答無用の悪人・強い物いじめをするジェイソンといったところでしょうか(笑)。そういえば、『13日の金曜日 PART8 ジェイソンN.Y.へ』なんて作品もありましたね。ジェイソンは、自身が死んだとされる湖近辺で事件を起こしているから怖いのに、ニューヨークへ行ってどうするんだと(笑)。まあ、話は反れましたが、ホラー映画は見方によっては笑える要素も詰まっていますね」
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