初回の評価は? 藤木直人×白石麻衣コンビの化学反応に期待のワケ。ドラマ『最後の鑑定人』第1話考察&感想レビュー【ネタバレ】
藤木直人主演のドラマ『最後の鑑定人』(フジテレビ系)がスタートした。藤木演じる敏腕鑑定人が、白石麻衣演じるウソを見抜くのが得意な研究員とともに、科学的アプローチを駆使して難事件の真相を暴いく本格サイエンス×ミステリー。今回は第1話のレビューをお届けする。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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藤木直人×白石麻衣の化学反応に期待
初回から「サイエンスミステリー」としての色をはっきり打ち出し、事件の謎解きに科学の力で迫る構成が印象的だった。岩井圭也の同名小説を原作に、藤木直人演じる元科捜研のエース・土門誠と、白石麻衣演じる心理学の専門家・高倉柊子による男女バディが難事件に挑む。
第1話の舞台は12年前の強盗殺人事件。捜査が行き詰まり、迷宮入りしかかっていたこの事件が、土門の卓越した鑑定技術によって一歩ずつ真相に近づいていく様子が描かれた。現場の骨や監視カメラ映像、水没車に付着した微細な痕跡から導き出される推理は、まさに「最後の鑑定人」の名にふさわしい。
ポリグラフ(いわゆる嘘発見器)を用いた真犯人の追い詰めも含めて、科学を軸とした緻密な捜査が展開されるが、古くは『科捜研の女』シリーズ(テレビ朝日系)から『アンナチュラル』(TBS系、2018)など、この手のジャンルは名作が多い。特に同じフジテレビの名作『ガリレオ』シリーズは、理系エキスパート変人×常識人の男女バディという構図で本作と共通している。
“変人”コンビは意外と普通?
では、そんな“名作の影”が付きまとう中で、『最後の鑑定人』がどう独自性を出していくか——そのカギは「人間ドラマ」にあると感じた。
公式サイトでは、「人に興味がない」と紹介される土門。調査を依頼する神奈川県警の都丸勇人(中沢元紀)への不遜な態度や、子ども相手にムキになって言い争うなど、確かに常識の枠には収まらない。ただ一方で、事件解決には協力的で、意外なほどスムーズに周囲と連携する様子もある。
民間の鑑定所を営んでいるわけだから、対社会的な態度は当たり前ではありつつも「変人キャラ」にしては少々あっさりしており、その奇人性をもっと押し出しても良いようにも思う。
対して土門の相棒である高倉は、心理学の専門家で「人の嘘を見抜くという能力を持つ“変人”」だという。土門鑑定所を訪れる依頼人にわざと不味いハーブティーを出して反応をうかがっている部分は確かに変人だろう。しかし、他人へのお礼や挨拶を嫌う土門に物申したり、意見をぶつけ合う様子は、むしろ視聴者には親しみやすく映ったのではないか。見た目に反して沢山食べるところもチャーミングで人間味を感じる。特に、依頼人としてこれから何度も鑑定所を訪れるであろう都丸との関係性がどう発展されるかにも注目したい。
本作の武器となるのは?
“クセ強バディ”という前情報を聞いていた視聴者にとっては、むしろ意外なほど「ふつう」のキャラクター造形だったかもしれないが、土門と高倉の会話シーンは独特なリズムを持っている。この“かみ合っていない感”こそが、本作の真の武器になるかもしれない。
藤木直人の冷静沈着な演技と、白石麻衣の柔らかさと観察眼のある表情がほどよく噛み合い、二人のコンビとしての“可能性”は確かに感じられる。視聴者としては、このコンビが今後どのように関係を深め、どんな化学反応を見せてくれるのかを楽しみにしたい。
【著者プロフィール:まっつ】
1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。
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