『鬼滅の刃』史上最も泣ける人気キャラの壮絶死亡シーン5選。散り際に胸が熱くなる…記憶に残る名場面をセレクト

text by 小室新一

大切な人との別れに、涙を流さずにはいられない――。鬼との戦いの中で命を落とした隊士たちと鬼たちの最期は、それぞれに深い悲しみと意味を宿している。この記事では『鬼滅の刃』で特に胸を打たれた“泣ける死亡シーン”を5つ厳選し、その背景と感動の理由を紐解いていく。※原作のクライマックスに触れています。未見の方はご注意ください。(文・小室新一)

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心を燃やし続けた男の最期

煉獄杏寿郎

ufotable公式Instagramより
ufotable公式Instagramより

『鬼滅の刃』第7巻から始まる《無限列車編》では、数多くの人々が消息を絶っていた謎の列車を舞台に、炭治郎たちと炎柱・煉獄杏寿郎が任務に挑む。物語は、下弦の壱・魘夢(えんむ)の血鬼術によって彼らが夢の中に閉じ込められるところから展開する。甘美で残酷な夢の世界――しかし、禰豆子の力と炭治郎たちの意志の力により、彼らは再び目を覚まし、魘夢を見事討ち果たす。

 だが、ようやくの安堵も束の間、突如として現れるのは上弦の参・猗窩座(あかざ)。再生能力と格闘術を極めたこの強敵を前に、煉獄は全身全霊で立ち向かう。激闘の末、鳩尾を貫かれ致命傷を負いながらも、彼は最後の力を振り絞り、猗窩座の首に刃を食い込ませる。夜明けが迫る中、日光という鬼の天敵に晒そうとするが、惜しくも猗窩座を取り逃がしてしまう。そして、炭治郎たちの目の前で「心を燃やせ」という言葉を遺し、静かにこの世を去る。

 煉獄杏寿郎の登場は6巻の柱合会議から始まり、命を落とすのはわずか2巻後の8巻。登場期間こそ短いが、その存在感は絶大だった。彼が母と交わした回想の中の言葉、「強く生きる意味を見つけなさい」という教えは、煉獄という男の真の姿を示すとともに、炭治郎たち、そして読者にとっても心に深く残るメッセージとなる。

 煉獄の「心を燃やせ」という言葉は、炭治郎たちの魂に深く刻まれ、彼らの支えとなっていく。無限城での最終決戦、炭治郎が煉獄の鍔(つば)を自らの刀に取り付けて戦う姿は、彼の意志が確かに継がれていることを象徴する、感動的な名場面である。

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