「巧みな視覚表現が光る金融サスペンス」村松健太郎(映画ライター)|映画『キャンドルスティック』マルチレビュー

公開中の話題作を4人の評者が“忖度なし”で採点する新企画「映画チャンネル」マルチレビューがスタート! 記念すべき第1回は、日本と台湾の共同制作による阿部寛主演作『キャンドルスティック』を徹底レビュー。果たしてその評価は? 点数とあわせて、本作の魅力と課題を多角的に掘り下げる。※評価は5点満点とする。(文・編集部)

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巧みな視覚表現が光る金融サスペンス

村松健太郎(映画ライター)

【採点評価】3点

 上映時間が93分というタイトな作りで一気に見せ切る金融サスペンス作品。主演の阿部寛、ヒロインの菜々緒、津田健次郎などを中心にキャストは決して多くないが、要所要所を効果的に固めてきた感がある。

 ディスプレイ上での数字の展開が物語のメインになるのでどうしても地味な映画になりがちだが、主人公が共感覚の持ち主であるという設定を導入したことで、数字の羅列が色づいて立体的に見えるという映画的なものに巧く変えた。これは演出する側の工夫が効いたというところだろう。

 物語の展開は非常にスピーディー、金融的な知識、IT知識が深いとより楽しめるかと。そのあたりの予習があるとなお良い。

【著者プロフィール 村松健太郎】
脳梗塞と付き合いも15年目を越えた映画文筆屋。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在各種WEB媒体を中心に記事を執筆。

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