モヤモヤする…最終話でも伏線が回収されなかったドラマ5選。余韻が半端ない…続編が待たれる名作をセレクト

text by 阿部早苗

ドラマの最終話を観終わったあと、思わず検索してしまう未回収の伏線。緻密な構成と謎の連鎖で視聴者を引き込みつつも、あえて全てを説明しない余白こそが、作品を“語り継がれる存在”にしているのかもしれない。今回は、「未回収の伏線」が視聴者の記憶に深く刻まれた傑作日本ドラマを5作セレクト。その魅力を紐解いていく。(文・阿部早苗)

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ミスリードを誘う考察型ミステリー

『真犯人フラグ』(日本テレビ系、2021)

西島秀俊
西島秀俊【Getty Images】

脚本:高野水登
出演者:西島秀俊、芳根京子、佐野勇斗、桜井ユキ、生駒里奈

【作品内容】

 中堅運送会社に勤める相良凌介(西島秀俊)は、妻と2人の子どもと幸せに暮らしていたが、家族が失踪してしまう。手がかりのない中、事件は世間の注目を集め、凌介は疑惑の目を向けられていく。

【注目ポイント】

 日本テレビ系で2021年に放送されたドラマ『真犯人フラグ』は、家族が突然失踪するという衝撃の導入と、多数の伏線、ミスリードを仕掛けた考察型ミステリーとして注目を集めた。主人公・相良凌介を演じたのは西島秀俊。企画・原案を『あなたの番です』の秋元康が務め、SNSを中心に考察合戦が白熱した。

 最終回で明かされた真犯人は、凌介の親友であり週刊誌編集長の河村俊夫(田中哲司)。事件の動機は、凌介への羨望と、真帆を奪われたという一方的な執着心だった。林洋一(深水元基)の刺殺や、星空写真の偽装、菱田朋子(桜井ユキ)の協力など、主要な伏線の多くは丁寧に回収され、ミステリーとしての体裁は整った形となった。

 だが、視聴者の間では「本当にすべてが解決したのか?」という声も根強い。

 たとえば、相良篤斗(小林優二)の父親が誰なのかは最後まで明言されず、DNA検査の結果に関する描写も曖昧なままだった。とくに故・上島竜平が演じた強羅という人物の行動には、多くの不可解な点が残る。

 たとえば、中盤で強羅が蹴っていたゴミ箱の中に誰かが隠れていた描写があったが、結局その人物が誰だったのか明かされることはなかった。さらに、強羅がPTAの役員という謎の設定もあったが、彼の目的や背景に関する説明は一切されていない。

 これらの未解決をどう捉えるかは、視聴者次第。あえて余白を残した構成は、視聴者に解釈を委ねるスタイルともいえる。とはいえ、同ドラマを説明不足と見るか、余白のある物語と捉えるかで評価が分かれる作品である。

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