まさかの「タイムリープ不倫」!? 初回からクセになる中毒性の理由とは? ドラマ『奪い愛、真夏』第1話考察&感想【ネタバレ】
松本まりか主演、安田顕共演のドラマ『奪い愛、真夏』(テレビ朝日系)が放送開始した。本作は、さまざまな登場人物たちが愛を奪い合う《激しくも切ないドロキュン恋愛ドラマ》として注目を集める『奪い愛』シリーズの最新作。今回は、第1話のレビューをお届けする。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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『奪い愛』最新作はまさかのタイムリープもの!?
鈴木おさむ脚本による『奪い愛』シリーズの最新作『奪い愛、真夏』がついに幕を開けた。
週刊誌の記者として政治家や芸能人のスキャンダルを暴くことを生業としていた海野真夏(松本まりか)。しかし、自身もまた不倫をしていた。人としての感覚の麻痺を感じていた矢先、不倫をスクープした政治家から刺されそうになったり、結婚の約束をしていた不倫相手から末期癌であることを理由に別れを告げられたりと、真夏の身に不幸が襲い掛かる。
もう死んでしまおうかと考えていたときに、「時はあなたとしか進まない」というコピーを掲げた腕時計の広告に救われ、真夏は心機一転、時計メーカー「TOWANI」への転職を決意する。ところが、TOWANIの社長・空知時夢(安田顕)は、かつての不倫相手・大浦隼人(安田の2役)と瓜二つ。初対面なのに真夏のつけている腕時計を「合っていない」という時夢も時夢だが、真夏も強い口調で反論をするなど、時夢に調子を狂わされてしまう。
しかし、時夢が時計についてなにか言いたくなってしまうのは、真摯に時計と向き合っているからこそ。心から時計を、仕事を愛する時夢と、何事にも一生懸命な真夏。2人の距離が縮まるのに、時間はかからなかった。
「不倫した側」がやり直すという斬新さ
ある日、時計職人の工房を訪れた2人。しかし、工房からは火の手が上がっており、中では職人の江原が気を失っていた。間一髪のところで江原を助け出すことはできたものの、倒れてきた柱がぶつかり、真夏は腕に火傷を負ってしまう。そのことに責任を感じる時夢。いまにも泣き出しそうな表情からは、責任感の強さと心根の優しさを感じる。
江原の体調が戻ったと聞いた2人は、そろってお見舞いへ。そこで真夏は「時はあなたとしか進まない」というキャッチコピーは、時夢が考えたものであることを知る。
かつて愛した人に似ているだけでなく、命を救ってくれた言葉を考えた人でもある。火傷を覆う包帯に伸びた時夢の手を一度は拒絶した真夏だったが、その後、自ら時夢にキスをしてしまう。真夏の心を動かすには十分な駒がそろっていたことは理解しつつ、急にそっちのスイッチ入るんだ!? と驚いたのも束の間、キスを悔いていた真夏がタイムリープをしてお見舞いの日をやり直すという衝撃的な展開に。
不倫された側が不倫をされないようにタイムリープを繰り返すならばいざ知らず、不倫した側が不倫をしないようにタイムリープをする物語というのはなかなか不思議だ。時夢も真夏になんの感情もないことはないだろうが、現時点で理性のリミッターが瞬間的に崩壊するほど惹かれているのは真夏なので、真夏の耐久レースが繰り広げられていくということか。
また、現状から察するにタイムリープの鍵は真夏の母・三子(水野美紀)が遺した腕時計だ。高校生だった真夏がその時計に触れ、三子は「触らないで!」と声を荒げていた。当時愛していた人からもらった大事なものだったのだろうか? 三子が海外で亡くなったこと、時夢がかつてスイスで時計職人になる修行をしていたことも、無関係ではなさそうだが…。
いずれにしても、鈴木おさむがどんな仕掛けを用意しているのが楽しみだ。
濃厚すぎるサブキャラクターたち
真夏、時夢の2人を取り囲むキャラクターたちも、すでに非常に濃い。
時夢の妻で画家の未来(高橋メアリージュン)は、時夢への重たすぎる愛情ゆえ、ちらつく女(=真夏)の陰にすでに腸を煮えくり返らせ、1話にして自身の絵を黒く塗りつぶすという狂気を垣間見せる。しかも、真夏の名前を知ってか知らずか、歌っていたのはサザンオールスターズの名曲「真夏の果実」なのがまた怖すぎる。
そんな未来を意図的にゆさぶるのが、未来の妹であり真夏の同僚の山上花火(森香澄)だ。未来とレストランで豪華な食事をつつきながら、時夢が女性社員(=真夏)と会食をしていることをそれとなく告げる。姉になんらかの恨みがあるのか、それともただ面白がっているだけなのか。
いずれにしても、ことあるごとに火種となりそうなのは花火だろう。視聴者は、彼女が発する「どっかーん」待ちをすることになりそうだ。
初回にして中毒性たっぷり
そのほか、真夏の前の職場の後輩である日熊元也(白濱亜嵐)もすでに気味が悪い。受け入れてもらえない愛をずっと伝え続けるというのは(白濱亜嵐だし)100歩譲って許すとしても、転職初日に家まで来るのはさすがに怖い。挙句、真夏が怪我をしたときは病院までやって来て、時夢に「不幸のうさぎ」などと謎の威嚇をしていた。
すでに真夏がある程度、時夢に心を許していたといったって、元也はそれをどこで知ったのか。「元也の占いは当たる」と真夏が言っていたことを踏まえると、もしかしてこの人もタイムリープ的なことができるのかも、なんて勘繰ってしまう。個人的には、真夏と時夢のキス写真を玄関前に置いたのも、元也なんじゃないかと睨んでいるが、果たして。
設定はもりもりだし展開は早いが、1話にしてすでに中毒性がある。それはきっと、松本と安田が、真夏と時夢として、丁寧に2人の心情と距離感の変化を積み重ね、こちらの心をがっちり掴んでいるからだろう。そして、きっとここから俳優陣の怪演は、回を増すごとにヒートアップしていく。真夏の夜、清々しいくらいの愛憎渦巻く“ドロキュン”を観るのが、すでに毎週の楽しみになりそうだ。
【著者プロフィール:あまのさき】
アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。
TVerにて配信中。
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