“意次”の憔悴した姿に驚愕…狂気みなぎる渡辺謙の圧倒的演技力とは? 大河ドラマ『べらぼう』第28話レビュー【ネタバレ】

text by 野原まりこ

横浜流星が主演を務める大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合)。本作は、江戸時代を舞台に、多くの浮世絵師や作家を世に広めた出版人・蔦屋重三郎の波瀾万丈な人生を描いた物語。さっそく、第28話の物語を振り返る。(文・野原まりこ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

意知(宮沢氷魚)の死が招いた混乱

『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第28話 ©NHK
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第28話 ©NHK

 佐野政言(矢本悠馬)に斬られ、田沼屋敷で意知(宮沢氷魚)は息を引き取る…。意次(渡辺謙)は意知を胸に抱き、咽び泣くのだった。

 意知の葬列が執り行われると、多くの野次馬が集まってくる。しかし、物乞いする者が現れ、駕篭に石を投げ出す。誰袖(福原遥)は必死に庇うが、抵抗虚しく顔に怪我を負う。蔦重(横浜流星)は、意知の仇を討つ方法を考えるが、佐野政言が切腹したことを知る。

 そんな中、意知が亡くなったことで米が出回り、佐野政言が「佐野様」と拝まれるようになる。

 土山の屋敷では誰袖が一心不乱に呪いをかけていた。話を聞こうとしない誰袖に蔦重はやりきれない気持ちになる。蔦重が店に戻ると意次から手紙が届き、意知がやり残したことを代わりに成しとげるという旨が記してあった。そこへ、政演(古川雄大)が「てぬぐい絵本」を持ってくる。描かれている面白い絵を見た蔦重は、新しい策を思いつく。

 恨み、悲しみ、呪い…。と負の情念が渦巻いた第28話。しかし、同時に明るい兆しもみえた。ここでXに寄せられた視聴者の感想を見ていこう。

「なかなかに重い回でしたが、田沼様一橋治済に放ったあのセリフが唯一の光(沁みたァ…」「田沼意次は一橋が裏で工作していた一連の悪行に気づいていた。意次が圧をかけながら意知の仇を伝える覚悟にグッときた。」「誰袖の笑顔が戻ってくること…世の中にも少しは笑顔が戻ってくることを願うばかり」「渡辺謙さんの、息子を失って少し老いた雰囲気と、内側から出る怒りとか覚悟みたいなものが滲み出た表情がすごかった。あとていさんのお口巾着かわいすぎ。」「本当に、どうやったら一夜にしてあれほど老け込み憔悴したさまを表現できるのかと。まったく別人になっていました。」「っていうか今回もいいところで終わったなーーーー!早く次回が見たい!!」

 息子を失った父の悲嘆の思いと、強く生きていく覚悟を持った意次の姿が、多くの視聴者の印象に残ったようだ。超豪華俳優たちによる演技合戦も名物となっている『べらぼう』。次回の展開にも期待がかかる。

(文・野原まりこ)

【関連記事】
【写真】渡辺謙の圧倒的な演技力に打ちのめされる…貴重な未公開写真はこちら。『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第28話劇中カット一覧
『べらぼう』前半戦でもっとも輝いた俳優は? 考察&感想レビュー【ネタバレ】
大河『べらぼう』の醍醐味とは? 染谷将太“歌麿”&岡山天音“恋川春町”の意外な繋がりも…考察&感想レビュー【ネタバレ】

【了】

error: Content is protected !!