「人生の運をすべて使ったかも」映画『星つなぎのエリオ』野呂佳代がディズニー&ピクサーへの愛を語りつくす。単独インタビュー
ディズニー&ピクサーの最新作『星つなぎのエリオ』が、絶賛公開中。今回は、本作に登場する、お助けコンピューター・ウゥゥゥゥ役の吹き替えを務める野呂佳代さんにインタビューを敢行。本作の魅力や収録現場の裏話、そしてディズニー&ピクサーの魅力についてたっぷりとお聞きした。(取材・文:斎藤香)
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大ファンのディズニー&ピクサー作品に声優として参加
―――野呂さんはディズニー&ピクサーの大ファンだそうですね。
「はい、『趣味は、ディズニー&ピクサー!』というくらい大好きなんです。だからこのようなお仕事をいただけるなんて夢のようで、人生の運をすべて使ってしまったのではないかと思うくらい、胸がいっぱいです!」
―――オーディションで掴んだチャンスですが、どのような気持ちで臨まれましたか?
「どういう声にしたらいいかと考えていましたが、やはりウゥゥゥゥのビジュアルと向き合わないと難しいと感じ、オーディション当日に『全力でやろう!』と、気持ちを切り替えました」
―――オーディションはいかがでしたか? 手応えはあったのでしょうか?
「とても楽しかったです。初めてだったのでオーディションのプロセスすべてが新鮮で、オーディションを受けることができただけで幸せでした」
―――合格の知らせを聞いたときの気持ちは?
「私は、ディズニー&ピクサーの日本版の声優をやるほどの俳優だろうか…と考えていたので、合格のお知らせを聞いたときは、体全体で喜びを表現していました。もう『やったー!』って言っていましたから(笑)」
バラエティ経験を生かした“ニコニコツッコミ”演技
―――『星つなぎのエリオ』の声の収録はいかがでしたか?
「最初は緊張しすぎて『大丈夫かな』と思っていたのですが、いざ収録が始まると、ウゥゥゥゥの声をどう演じようかと考えるのがどんどん楽しくなってきて。最初はオリジナルの声優さんの声の雰囲気や、話すスピードを意識しながら演じていたのですが、だんだん自分の声にも馴染んできたので、そこからは少しずつアレンジを加えて、いろいろなパターンを試させていただきました。日本語吹替版のスタッフの皆さんがとてもやさしく導いてくださったので楽しかったです」
―――完成した日本語吹替版をご覧になって、ご自身が演じられたウゥゥゥゥはいかがでしたか?
「私がアイデアを出した部分を実際に使っていただけたシーンもあって、本当にうれしかったですし、いろいろな感情が込み上げてきました。あとは観客の皆さんにウゥゥゥゥが受け入れられるといいなあと思っています。今はドキドキですね」
―――日本語吹替版のキャストが発表されるまで、少し時間があったかと思いますが、「早く伝えたい!」という気持ちはありましたか?
「そういう気持ちもありましたが、発表まで自分の胸で温めておきたいという思いもありました。先日公開された『リロ&ステッチ』を見にいったとき、『星つなぎのエリオ』の予告編が映し出されたんですよ。ウゥゥゥゥウが出てきたとき、『私もディズニー&ピクサーの一員になれたんだ!』とうれしくて、涙が流れました。周りの皆さんに『この声、私なんですよ〜』とは言いたくても言えない。でもそれも今の時期しか味わえない気持ちですから、喜びを噛み締めていました。とても幸せな時間でしたね」
―――野呂さんが声を担当したお助けコンピューターのウゥゥゥゥについて、どういうキャラクターだと解釈しましたか?
「ウゥゥゥゥはホワホワしていて、とても可愛いんです。困っている人を助けるのが仕事なんですが、やさしいというよりは、意外と業務的で、ときどきエリオを雑に扱うところもあって(笑)、そんな一面も含めてチャーミングな愛されるコンピューターだと思います」
―――演じるにあたって、気をつけたことはありますか?
「ウゥゥゥゥの、ニコニコしながらツッコむところがすごく好きなんです。私自身、バラエティ番組で芸人さんにいじられることが多いので、その感覚を取り入れたりしました」
―――楽しみながら収録されていたんですね。
「本当にすべてが楽しくてうれしくて、暇さえあればInstagramやYouTubeで『星つなぎのエリオ』の予告編やプロモーション映像をチェックしています。なかでも、自分が演じたウゥゥゥゥの声を繰り返し見たり聞いたりして楽しむ“ひとり遊び”が、最近のマイブームになっています(笑)」
エリオに重ねた自身の歩み
―――『星つなぎのエリオ』を観て、共感したポイントはありましたか?
「エリオは両親を亡くし、とても寂しい環境にいるんです。おばさんはとても愛情深く接してくれますが、エリオの孤独は癒せないし、エリオには次々と試練が訪れて、それに向き合わなければならないんです。そんな中で、エリオは色んな人からアドバイスをもらうのですが、その姿を見て、『まるで私の人生みたい』と感じたんです。
私も芸能界でたくさんの試練がありましたが、その都度、先輩たちがアドバイスをしてくださいました。怒られることもありましたけど、それもすべて私のことを考えて、いい方向へと導くアドバイス。そうやって周囲の人に支えられながら乗り越えてきて、今、私はディズニー&ピクサーの新作映画で声の出演を叶えることができたんです!」
―――エリオの人生が自分と重なったんですね。
「そうですね。エリオのエライところは『なんで俺ばかりこんな目にあうんだ』と卑屈にならないところです。そこが私と違う(笑)。私は失敗をしないと気づかない不器用なタイプなのですが、エリオは自分でなんとかしようと考え、行動に移すことができる子です。宇宙が好きだから『宇宙、自分に気づいてくれ!』と行動に移したからこそ、ウゥゥゥゥたちとも出会いますからね。
試練との向き合い方、周囲の方のアドバイスという愛情に気づくことの大切さなどが描かれているので、学校生活や職場などで『ピンチだ』と悩んでいる人にぜひ見てほしいです。もしかしたら、解決のヒントがあるかもしれません」
ディズニーキャストとしての勤務経験
―――野呂さんがディズニー好きになったきっかけについて教えてください。
「私は『ピーターパン』(1953)と『ふしぎの国のアリス』(1951)を見て育ったんです。家にこの2作品のビデオがあり、私は特に『ピーターパン』が大好きでよく見ていました。それがきっかけでディズニー好きになり、ディズニーランドにも連れて行ってもらうようになりました。
私は1983年生まれで東京ディズニーランドと同じ年なんですよ。だから余計に親近感があり、ディズニー映画を見たり、ランドに行ったりするうちに『アラジン』(1992)など、大好きなキャラクターも増えて、ディズニー熱が加速して行きました。好きが高じてディズニーシーでキャストとして働いていた時期もあるんですよ」
――憧れのキャストになったり、日本版の声優になったり、どんどん夢を叶えていますね。
「私のダンナさんもディズニー&ピクサーが大好きなので、ふたりで東京ディズニーランドやシーへ行ったり、フロリダやL.A.のディズニーリゾートに旅行してみたり…。もちろん家にはグッズもいっぱいありますし、ディズニーが唯一の趣味なので楽しませていただいています」
―――『星つなぎのエリオ』のキャラの中で、ウゥゥゥゥ以外に好きなキャラクターはいますか?
「エリオと親友になるグロードンです。気が弱くてエリオと同じくひとりぼっちなのですが、とてもいい子なんですよ。何よりあのポヨポヨしたボディがかわいい! 抱きしめたくて仕方がないです(笑)。口を開くとちょっと怖いんですが、性格もやさしいし、エリオとの相性もバッチリです。吹替を担当した佐藤大空くんの声もかわいくて良かったですね」
次に挑戦したいのは「コミカルで個性豊かなキャラクター」
―――次にディズニーやディズニー&ピクサーの日本語吹替版で声を担当するとしたら、どの映画がいいですか?
「そんな恐れ多くて…でも、希望を言わせていただけるのであれば、コメディーが好きなのでワクワクするような面白いキャラクターを演じてみたいです。例えば、『アラジン』のジーニーみたいなキャラクターとか『塔の上のラプンツェル』(2011)の荒くれ酒場の人たちとか、コミカルなキャラクターがいいですね。あと『カーズ』(2006)も大好きなので、新車のキャラクターが登場するときに声をかけていただければ全力で頑張ります! 恐れ多いと思いつつ、けっこう言いました(笑)」
―――最後に、ディズニー&ピクサー好きの野呂さんから見た『星つなぎのエリオ』の感動ポイントを教えてください。
「ディズニー&ピクサー好きとしては、これまでの作品にはない描写が多かったと感じました。スローモーションや宇宙の美しさなど、ビジュアルの見どころは多いと思います。でも1番はエリオが試練を乗り越えていく姿です。『もっと強くなりたい』という気持ちに想像力をプラスして実現していく姿は本当に頼もしいと思いました。ディズニー&ピクサー映画の魅力は、現実とイマジネーションの世界をリンクさせているところ。それがこの映画ではすごく効果を発揮していたと思います。
あと、ディズニーランドとシーのファンとしては『星つなぎのエリオ』のアトラクションができたらいいなと。壮大な宇宙のキラキラした空間でのアドベンチャーは絶対に楽しいと思います!」
(取材・文:斎藤香)
【作品情報】
『星つなぎのエリオ』
2025年8月1日(金)より全国公開
監督:マデリン・シャラフィアン(『リメンバー・ミー』)、ドミー・シー(『私ときどきレッサーパンダ』)、エイドリアン・モリーナ(『リメンバー・ミー』)
制作:メアリー・アリス・ドラム(『リメンバー・ミー』)
製作総指揮:ピート・ドクター
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン ©2025 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
日本版声優:川原瑛都(エリオ)、清野菜名(オルガ)、佐藤大空(グロードン)、松山ケンイチ(グライゴン)、
野呂佳代(ウゥゥゥゥ)、渡辺直美(オーヴァ)、マユリカ・中谷(メルマック)、
関智一(ヘリックス)、沢城みゆき(クエスタ)、安原義人(テグメン)、子安武人(ユニバーサル・ユーザー・マニュアル) ほか
日本版エンドソング:「リボン」 Performed by BUMP OF CHICKEN
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【了】