1980年代最高の洋画は?映画の神に愛された傑作(5)「時代を超えて」愛される、極上のエンターテイメント

text by 村松健太郎

1980年代、スクリーンには想像を超えた世界が広がり、劇場に足を運ぶことは冒険そのものだった。今よりも限られた技術の中で生まれた作品の数々は、ジャンルを問わず人の心を揺さぶり、“語り継がれる物語”として今なお輝きを放っている。今回は、そんな80年代の空気をまとう名作洋画の魅力を紐解いていく。第5回。(文・村松健太郎)

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SFとコメディの奇跡的融合

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』【Getty Images】

監督:ロバート・ゼメキス
脚本:ロバート・ゼメキス、ボブ・ゲイル
出演:マイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイド、トーマス・F・ウィルソン、リー・トンプソン、クリスピン・グローヴァー、クローディア・ウェルズ

【注目ポイント】

 スティーブン・スピルバーグは、監督として数々のヒット作を世に送り出してきたが、プロデューサーとしても『グレムリン』シリーズ(1984年~)や『メン・イン・ブラック』シリーズ(1997年~)など、多くの話題作を手がけてきた。そのスピルバーグが製作総指揮を務めた代表作の1つが、ロバート・ゼメキス監督による『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)である。

 本作は、SFとコメディを絶妙に融合させた作品であり、現在では単なるSF映画の枠を超え、1980年代を象徴するアメリカ映画の一本として位置づけられている。大ヒットを受けて『PART2』(1989年)および『PART3』(1990年)が製作され、三部作として完結した。

 物語の主人公は、高校生のマーティ・マクフライ。演じたのは、本作で一躍スターダムにのし上がったマイケル・J・フォックスである。そしてもう一人の重要な登場人物であり、マーティの年上の親友であるエメット・ブラウン博士、通称“ドク”を演じたのはクリストファー・ロイドだ。ドクは、自身の愛車デロリアンをタイムマシンに改造し、マーティはその発明をきっかけに過去や未来へと時空を超える旅に出る。彼は旅のなかでたびたび歴史を改変しかける危機に直面し、ドクと協力してその困難を乗り越えていく。

 なお、当初マーティ役には別の俳優がキャスティングされていたが、作品のコメディ調のトーンに合わないとして途中で降板し、急遽マイケル・J・フォックスが代役として起用されたという逸話も知られている。

 本作の人気はいまなお衰えることなく、日本でも地上波での放映が続いている。さらに、ミュージカル版も制作され、日本では現在、劇団四季によって舞台公演が展開されている。時代を超えて愛され続ける傑作である。

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【了】

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