あなたはいくつ知ってる?『鬼滅の刃』驚きの裏エピソード5選。背景を知ればもっと楽しめるトリビアをセレクト
text by 小室新一
『鬼滅の刃』は、ただのバトル漫画にとどまらず、キャラクターの背景や演出に隠された“深み”が世界中のファンを魅了している。実はその裏には、原作誕生の秘話からアニメ演出の意外なルーツまで、あまり知られていないトリビアがたくさん隠されている。今回は、作品理解がさらに深まる『鬼滅の刃』の知られざる5つのトリビアをご紹介する。(文・小室新一)
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主人公変更の裏側にある編集者の金言とは?
炭治郎は主役じゃなかった
読切作品『過狩り狩り』を連載向けに改稿した『鬼殺の流』は、『鬼滅の刃』の原型ともいえる作品だ。舞台は大正時代で、鬼や刀といった重要な要素はすでに揃っていたものの、最大の違いは主人公の設定にあった。
『鬼殺の流』の主人公は、盲目で隻腕、さらに両足が義足という、寡黙な剣士。五体満足ではない主人公が悪と戦うという骨太な構図だったが、重く厳しい世界観と、あまりにも静かな主人公像は少年誌の読者層には合わず、連載には至らなかった。
そこで編集者は、「主人公を普通の人間にして、代わりに周囲のキャラクターに個性や奇抜さを与える」という提案を行う。当時は脇役として構想されていた、元気で人懐っこい少年を主人公に据えることにした――それが竈門炭治郎である。
炭治郎のような明るく親しみやすい主人公がいたからこそ、『鬼滅の刃』は幅広い読者に受け入れられ、今のような人気を築くことができたのかもしれない。