當真あみ「お芝居がますます楽しくなった」ドラマ『ちはやふる-めぐり-』で得た発見とは? 単独インタビュー
広瀬すずが主演を務めた映画『ちはやふる』シリーズの10年後の世界を描くドラマ『ちはやふる-めぐり-』(日本テレビ系)が放送中だ。本作で連続ドラマ初主演を果たし、主人公・藍沢めぐるを演じる當真あみさんにインタビュー。役づくりや撮影の裏側、俳優としての現在地についてたっぷりと語ってもらった。(取材・文:苫とり子)
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『ちはやふる』の世界に入る喜びと不安
―――映画『ちはやふる』シリーズはこの作品に出演する前からご覧になっていましたか?
「はい、最初に観たのは私が中学生の時でした。ちょうどコロナの時期で学校が長期休みになったので、DVDを借りて観たんです。登場人物のみんなが一つの物事に青春を駆けて挑む姿がすごく眩しく映って、私もいつかこんな青春を送りたいなと憧れていました」
―――その続編で主演を勤めることが決まった時の心境をお聞かせください。
「最初は、まさか私があの『ちはやふる』に自分が携われるなんて、という驚きと喜びが大きかったです。ただ原作も映画もファンの方がたくさんいらっしゃる作品なので、そこに新しく入っていく不安もありました」
―――今回演じる藍沢めぐるという役を當真さんはどのように解釈されていますか?
「すごく寂しそうだなという印象です。過去の出来事に負い目を感じて、青春は自分に向いてないと決めつけてしまっている。それがすごく可哀想で、どうにか助けてあげたいと思うようなキャラクターだと感じました」
―――めぐるを演じる中で自分と似ているなと感じた部分はありますか?
「私も幼い頃から後々のことを考えて、誰かと競ったり、面と向かって喧嘩したりすることを避けてきた部分があるので、そういう部分はめぐるちゃんと似ているなと思いました。ただ、めぐるちゃんが凪ちゃん(原菜乃華)に抱いている劣等感みたいなものは、私は意外と感じてこなかったなと思って。そこは台本を読みながら、想像力を膨らませてお芝居していました」
役を通して知った競技かるたの奥深さ
―――昨年の9月から、かるたの練習にも励まれていたそうですね。初めて競技かるたに触れた感想は?
「競技かるたは、最初は自分が想像していた以上に難しかったですね。実は札を払う所作にもキャラクターごとにそれぞれ特徴があるんです。それをお芝居の中で自然にこなせるように、監修の先生に教わりつつ、畳をお借りして自宅でもひたすら“払い練”に励んでいました」
―――めぐるの払い方の特徴を教えてください。
「めぐるちゃんの払い方は効率重視で、読み上げられる音をしっかりと聞いてから、当たり札にまっすぐ向かっていくのが特徴だと教わって、とにかく正確に狙いにいくことを心がけていました。他にも千江莉(嵐莉菜)ちゃんは力強くダイナミックな払い、“春まん”こと春馬(高村佳偉人)くんは体勢が崩れるほど思い切りのいい払いなど、それぞれの払い方に特徴があるので、みんなそれを再現できるように休憩中も試行錯誤していましたね」
―――それを聞くと、またドラマの見方が広がりますね。ちなみに劇中で色んな札の覚え方が説明されていましたが、當真さんはどれが一番覚えやすかったですか?
「私は語呂合わせが一番覚えやすくて、YouTubeにたくさん上がっている解説動画を参考にしていました。めぐるちゃんは歌番号で覚えるのが自分に合ってるって言ってましたけど、その方が絶対に難しいと思います(笑)。他のみんなも語呂合わせで覚えていましたね。藤原大祐くんと齋藤潤くんは100首すべて暗記したそうですが、私はそこまでは…。ただ、毎話のサブタイトルになっている札は台詞にも出てくるし、大江先生(上白石萌音)から丁寧な説明を受けるシーンもあるので自然と覚えることができました」
―――當真さんの得意札はありますか?
「やっぱり『めぐりあひて』はめぐるの得意札としてずっと意識していたので、一番取りやすかったです。みんなでかるたを使ったミニゲームをしていても、その札だけは絶対に取るぞと心に決めていました。他のみんなも自分の得意札だけは意地でも取られまいと守っていた印象があります」
―――今回はお芝居に加えてかるたの練習もあり、本当に大変だったと思いますが、共演者の皆さんに助けられたシーンはありますか?
「みんな本当にずっと元気で、その姿にいつも助けられていました。特に試合のシーンを撮影する時はすごく集中力が必要で体力も削られるんですが、周りのみんなが明るく振舞っていると、それだけで自分も元気が出てくるんです。お芝居に関してもそれぞれのプランについて話し合う時間を設けたおかけでスムーズに撮影に進むことができたのも心強かったですね。話してみるとシーンの解釈がそれぞれ違っていて、そういう考え方もあるんだなという新たな発見もありました」
「現場にいるだけで温かさが増す」
上白石萌音の存在感
―――當真さんはこれまでの人生を振り返って、「あれが青春だったな」と思う瞬間はありますか?
「中学の時は硬式テニス部に入っていたんですが、沖縄の日差しを浴びて日焼けしながらテニスしてたなとか、夏休みは練習が終わったら、みんなでそのまま海に行ってたなとか、今でもよく思い出しますね。学校で何気なく友達と一緒に過ごしていた時間も思い返してみると青春だったなと思います」
―――今回の現場も青春感がありそうですが、共演者の皆さんとはどのように過ごされていたのでしょうか。
「休憩中は高校生キャストのみんなと本当に他愛もない会話をしていましたね。たしか高校生キャストの平均年齢は19歳くらいで、同い年じゃない方もいらっしゃったんですが、撮影期間は全く年の差を感じることもなく楽しく撮影できました」
―――めぐるにとっては奏(大江先生)がメンターのような存在ですが、當真にとって上白石萌音さんはどういう存在でしたか?
「休憩中はいつも梅園生キャストで集まってお喋りしていたんですが、そこに萌音さんも気軽に混ざってくださったり、一緒にかるたをしてくださったり、本当にみんなにとっての大江先生のような存在でした。萌音さんがいないシーンの撮影が続いて、久しぶりに現場にいらっしゃると一段と温かさが増すんです。そこにいてくれるだけでも安心感があって、すごく心強かったですね。大江先生が生徒たちにアドリブで言葉をかけるシーンもあるんですが、その一言に心を動かされて、みんな自然と泣いてしまったこともありました」
―――上白石さんのお芝居を間近でご覧になって感動した場面があれば教えてください。
「普段はみんなを包み込んでくれる優しい先生なんですが、百人一首の話になると途端に古典をこよなく愛する“かなちゃん”になるんですよね。例えば、第3話でめぐるが歌番号で札を覚えてると知った大江先生が驚きと同時に葛藤するシーンがありましたが、あの瞬間、萌音さんの目にグッと熱意が宿って、『あっ、映画で観たかなちゃんだ!』って感動しましたし、萌音さんのお芝居は本当に素敵だなと改めて感じました」
―――すでに撮影は終了しているそうですが、以降も共演者の皆さんとは連絡を取り合っていますか?
「撮影が終わって1ヶ月ほど経ちますが、今もLINEグループで連絡を取り合っていて、みんなでドラマを実況したり、誰かが番宣に出演した時はその感想を送ったりしています。先日、近江神宮で全国高校選手権大会が行われた時は萌音さんから『今、大会が熱いです!』っていうメッセージが届いて、みんなで結果を見ながら語り合いました」
「お芝居がますます楽しくなった」
デビューから5年の現在地
―――當真さんはデビューから止まることなく走ってこられたイメージがあるのですが、ご自身なりのリフレッシュ方法があれば教えてください。
「友達と一緒に過ごすのが、私にとっては一番のリフレッシュ方法です。今も撮影が終わってお休みの日が多いので、友達と映画を観に行ったり、うちに集まって延々とお喋りしたりしています。一人で過ごすのもいいんですが、私は休みを満喫してるぞ!っていう感覚がほしいタイプで(笑)。できるだけ外出して、体を動かすようにしています」
―――沖縄に帰ることもありますか?
當真「7月の頭にも地元に帰りました。家族と一緒に沖縄の離島に遊びに行って、自転車で島を一周しながら自然を満喫しました」
―――ご家族は當真さんのご活躍をどのように受け止めていらっしゃいますか?
「家族は私の活躍を楽しんでくれていますね。出演した作品は全部チェックしてくれていますし、今日も『昨日の放送、面白かったよ』って感想を送ってくれてすごく嬉しかったです」
―――デビューから5年目を迎えて、お芝居に対する意識の変化はありましたか?
「デビューした当初は緊張もありましたし、とにかく台詞を間違えないようにしなきゃという意識で頭がいっぱいだったんです。でも、今は他の俳優さんのお芝居を受けて自分がどう動けばいいかということまで考えられるようになってきて、お芝居がますます楽しくなりました」
―――當真さんが思う、演じることの魅力とは何でしょうか。
「このお仕事の魅力は毎回新しい発見があり、役を通して実生活ではできない経験ができるところだと思っています。今回も人生で初めて競技かるたに触れることができましたし、百人一首の歌の意味もこれまでは深く考えたことがありませんでした。そういう風に自分の経験が一つずつ増えていくこと、それによって知らなかった感情に出会えることがすごく嬉しいです」
―――今回の経験は當真さんの今後の俳優人生にどう生かされていくと思われますか?
「『ちはやふる』の撮影はお仕事であると同時に、部活動のような青春感もあって本当に楽しい時間を過ごさせていただきました。また今回、同世代の俳優の皆さんとご一緒して、それぞれのお芝居に対する姿勢や考え方から発見と学びをたくさん得られたので、できる限り吸収して次の仕事に生かしていきたいと思っています」
―――最後に、めぐるが本格的にかるた部の一員として始動する6話以降の見どころを教えてください。
「第6話からめぐるたちが3年生になり、新入部員が入ってくることで、また部の空気感も変わっていきます。そこで新たな壁や不安な出来事に直面しながらも、みんなで力を合わせて乗り越えていくところが見どころとなっています。その中でそれぞれの成長も見られると思うので、ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです!」
【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。