深澤辰哉“山崎忠”が明かした新事実…。協力関係が結ばれた背景とは? ドラマ『誘拐の日』第6話考察&感想【ネタバレ】
ドラマ『誘拐の日』(テレビ朝日系)が放送中だ。本作は、斎藤工演じる誘拐犯と、永尾柚乃演じる記憶を失った天才少女2人の奇妙な逃亡劇&特別な絆を描く《巻き込まれ型》ヒューマンミステリー。今回は第6話のレビューをお届けする。(文・ふくだりょうこ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 感想 レビュー】
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敵の敵は味方
どうにか水原(内田有紀)の別荘から脱出を図ろうとする凛(永尾柚乃)と政宗(斎藤工)。ふたりが別荘にある非常用回線を使って電話をしたのは弁護士で凛の家庭教師も務めていた山崎忠(深澤辰哉)だった。最初はすげない態度をとる山崎だったが…。
一方で凛たちは味方として水原を引き入れる。
「敵の敵は味方」と言う凛だったが、ケビン福住(鈴木浩介)と考え方が違い、ギスギスした関係となっていた水原。このままでは次世代知能開発プロジェクトをそのまま乗っ取られかねない。
凛は水原に栄進記念病院の副理事長・富雄(長谷川初範)に電話をかけさせる。凛が生きているとバラされたくなかったら、30億円払え、と。
新たにわかった真実
急にいろんな真実が明らかとなった。
まずは、汐里(安達祐実)はもともと七瀬家の養子だったということ。やはり、七瀬家はプロジェクトのために親のいない子どもを実験体にするために養子に迎えていたのだろう。松田(春海四方)に斬りつけられたのも汐里だった。常にスカーフを首に巻いていたが、その傷を隠すためだった。
では、凛を誘拐のターゲットとしたのは、七瀬家が取り組んでいるプロジェクトを明らかにするためだったのだろうか。汐里はHIVに感染していることが分かり、そのあとに七瀬家を出されている。汐里のあとに迎えられたのが守だ。と、なると恨みを持っている可能性も捨てきれない。松田は汐里にお金を振り込み続けたが、七瀬家は何かしらのサポートをしていたのだろうか。この物語、実は汐里が握っている秘密が多すぎるのでは。
一方、何も知らない政宗は自分の娘と凛を守るために今回も痛い目に遭い、死の恐怖にさらされている。が、本人はあまり苦痛に感じていなさそうなのが怖い。
汐里はプロジェクトの被験者だったということが分かったが、政宗は関係ないのか…政宗はなかなかバックボーンが見えず、どうして今のようなピュアな人間となったのかがわからないのが少しもどかしい。
そして今回から物語の中心にググッと関わってきたのが山崎だ。実は富雄の息子だということを明かした山崎。愛人の子だということもあり、父に認められようと今まで力を尽くしてきたが富雄の頭にあるのは金と名誉のことばかり。そんな折に持ち掛けられた凛からの協力要請。最初は拒否していたが、6話ラストで協力者となっていたことが分かった。
ひとつ、何か殻を破ろうとしているのが見て取れる。ここまではさほど出番が多かったわけではないが、常に何かを含んでいるような、悩んでいるような表情を見せていた。それはきっと父である富雄への葛藤だったのだろうし、凛に対する何かしらの想いがあったのだろう。
掴みきれないそれぞれの思惑…。
さてここで、次世代知能開発プロジェクトと凛に対するそれぞれのスタンスが見えてきた。
水原は息子を助けるためにプロジェクトに取り組んでおり、凛に対してもそれなりの愛情が感じられる。
ケビン福住は100%お金のためだ。プロジェクトに使われている薬のレシピを手に入れて、大儲けできればそれでいい。レシピさえ手に入れば、凛も水原も用無しだと考えているフシがある。
富雄はプロジェクトよりも凛がどうなるかを重要視している。凛がいなくなれば、七瀬家の財産が手に入るからだ。
全ての事の発端は凛の誘拐の前に七瀬夫妻の殺害になる。松田が守を殺した、となっているが、その動機についてはまだ信用しきれない部分がある。そもそも、松田が切りつけたのは守ではなく、汐里だ。守を汚させた罪悪感から七瀬家の自宅の警備をしていたと思われていたが、そうじゃないのだとしたらなぜ? ほかに目的があったのでは? となる。
汐里と何か結託して企んでいた可能性もなくはない。
次回より最終章と銘打たれているが、ぼんやりとしている真相のシルエットがはっきりしてくるのだろうか。そろそろ政宗が「何者」なのか、そして汐里の本音が知りたい。
【著者プロフィール:ふくだりょうこ】
大阪生まれ関東育ちのライター。
大学卒業後からライターとして活動、シナリオ制作やエンタメジャンルの記事を中心に執筆。
ドラマと邦画、ハイボールと小説が好き。