トラウマ確定…『鬼滅の刃』史上最も救いのない鬱回は? 絶望エピソード5選。読むだけで絶望が蘇る…胸糞な逸話をセレクト
text by 小室新一
世界的ヒットを記録している『鬼滅の刃』には、笑顔や成長の裏に観る者の心を深く抉る“鬱”な瞬間が数多く潜んでいる。それらは物語を重く、しかし確かな深みをもって支えている。今回は、胸が締め付けられる名シーン5つセレクト。『鬼滅の刃』がなぜこれほどまでに心を掴んで離さないのか、その理由に迫る。※原作のクライマックスに触れています。未見の方はご注意ください。(文・小室新一)
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わずか数秒で絶望へ
猗窩座の初登場
『鬼滅の刃』の人気をより確固たるものにしたのは無限列車編と言っても過言ではない。同作は興行収入400億円を超えるとんでもない記録を打ち立てた。
この章で観客を絶望の淵に突き落としたのは、メインの敵・下弦の壱・魘夢との死闘を終えた直後の出来事だ。
夢と現実の境界が曖昧になる中、炭治郎は伊之助、善逸、そして炎柱・煉獄杏寿郎と力を合わせ、ついに魘夢を撃破。全乗客を守り抜くことに成功する。
しかし、その安堵は一瞬で打ち砕かれる。満身創痍の彼らの前に、上弦の参・猗窩座が突如として姿を現すのだ。
柱である杏寿郎なら、上弦相手でも勝てるはず──そんな希望は、猗窩座の圧倒的な力の前で瞬く間に崩れ去る。今までの鬼とは次元の違う強さで柱すら圧倒し、観客をも絶望へと引きずり込むその姿は衝撃的だった。
このシーンが胸を締め付けるのは、勝利の歓喜からわずか数秒で絶望へと突き落とされる、その落差の激しさにある。
杏寿郎の死はもちろん痛ましい。だがそれ以上に、「まだ届かない」という現実を突きつけられた炭治郎たちの悔しさが、観る者の心にも重くのしかかる。