絶対に許せない…日本漫画を台無しにした海外実写化は? 失敗作5選。原作ファンがぶち切れ…世紀の問題作をセレクト
日本の漫画は世界中で愛され、数多くの名作が海外で実写化されてきた。しかし、その中には原作の魅力を大きく損ない、ファンから酷評された“黒歴史”級の作品も存在する。今回は、そうした「日本漫画の海外実写化ワースト」を厳選して紹介する。なぜ失敗したのか、その理由とともに振り返る。(文・編集部)
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世界観がなぜここまで崩れてしまったのか
『北斗の拳』(1995)
監督:トニー・ランデル
脚本:ピーター・アトキンス、トニー・ランデル
原作:武論尊、原哲夫
出演:ゲイリー・ダニエルズ、鷲尾いさ子
【作品内容】
父リュウケン(マルコム・マクダウェル)を南斗聖拳のシン(コスタス・マンディロア)に殺され、恋人ユリア(鷲尾いさ子)を奪われたケンシロウ(ゲイリー・ダニエルズ)は荒野をさまよっていた。
一方、シン配下の軍クロスマンが水を巡りパラダイスバレーの人々を苦しめていた。そんな絶望の中、少年バットと盲目の少女リンはケンシロウと出会う。
【注目ポイント】
1983年から1988年まで『週刊少年ジャンプ』で連載された、武論尊・原哲夫による漫画『北斗の拳』は、核戦争後の荒廃した世界を舞台に北斗神拳の伝承者ケンシロウが悪を討つ姿を描く、アニメ版も大ヒットを記録した国民的コミックだ。
その伝説的原作を、東映ビデオと東北新社の共同制作によりハリウッドで実写化したのが本作である。監督は編集技師出身のトニー・ランデルが務め、ケンシロウ役にアクション俳優ゲイリー・ダニエルズ、シン役にコスタス・マンディロア、ヒロイン・ユリア役には日本人女優・鷲尾いさ子が抜擢された。
物語は原作序盤の「ケンシロウ対シン」をベースにするが、映画版ではケンシロウの養父であるリュウケンが銃で撃たれる独自の幕開けから、サザンクロスでの対決に至るまでを描く。
しかし、その仕上がりは原作ファンを唖然とさせた。北斗神拳の描写は控えめで、あの敵が爆散する迫力は皆無。秘孔を突く音はなぜか「ペシペシ」という軽い効果音で、クライマックスの北斗百裂拳ですら地味な映像に終わっている。背景美術も低予算感が漂い、原作のイメージとは程遠いものとなっている。
当然、評価は厳しい。それでも、妙に軽い秘孔攻撃やB級感あふれる演出は、ツッコミながら楽しむネタ映画として再評価されており、今や稀有なポジションを獲得している作品でもある。