行ってはいけない…実在する心霊スポットを描いたホラー映画5選。旧トンネルから迷宮屋敷まで…珠玉の恐怖映画をセレクト
text by ニャンコ
旧トンネル、廃団地、封鎖された病院など、世界各地に点在する心霊スポットを舞台にしたホラー映画は、物語を超えて“その場所”の記憶や噂まで観客に意識させる。今回は、実在する場所をベースに描かれた映画を5本セレクト。現地に根付いた怪談や事件を背景を紐解いていく。(文・ニャンコ)
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夜間は地元住民すら避ける
福岡県・旧犬鳴トンネル『犬鳴村』(2019)
監督:清水崇
脚本:保坂大輔、清水崇
原案:清水崇、保坂大輔、紀伊宗之
出演:三吉彩花、坂東龍汰、古川毅、宮野陽名、大谷凜香、奥菜恵、須賀貴匡、田中健、寺田農、石橋蓮司、高嶋政伸、高島礼子
【作品内容】
地図に存在しない村の伝承を題材に、若い看護師が家族の死の謎を追い、呪いに呑まれていくホラー映画。
【注目ポイント】
福岡県宮若市と久山町の境にひっそりと口を開ける旧犬鳴トンネルは、日本の都市伝説を語るうえで欠かせない“魔の入口”として知られている。清水崇による本作は、旧犬鳴トンネルトンネルにまつわる都市伝説をモチーフにしたフィクション映画である。
1975年に新トンネルが開通してから封鎖されたものの、「奥には日本国憲法の通じない村がある」「村人が侵入者を襲う」といった怪談が噂として広がった。なかでも「この先、日本国憲法通用せず」という看板があったという話は有名で、その真偽をめぐる論争は今も続いている。
1990年代には実際に殺人・焼死事件が発生し、現実の惨劇がこの地の噂をより濃くした。内部では「車に赤い手形が残る」「背後で笑い声が聞こえる」といった体験談が後を絶たず、奥から吹き出す冷たく湿った空気が訪れる者の神経を削っていく。
現在も封鎖されているにもかかわらず、侵入を試みる者は絶えず、SNSや動画サイトには夜の探索映像が拡散されている。
夜間の旧犬鳴周辺は空気そのものが重く、地元の人でさえ近寄らないという。都市伝説と現実の事件が複雑に絡み合い、この場所は現代日本の心霊文化を象徴する存在となっている。