「実話ゆえの緊張感と、物件描写の物足りなさ」近藤仁美(クイズ作家)|映画『事故物件ゾク 恐い間取り』マルチレビュー

公開中の話題作を4人の評者が“忖度なし”で採点する新企画「映画チャンネル」マルチレビュー。今回は、Snow Man・渡辺翔太が初の単独主演を務める映画『事故物件ゾク 怖い間取り』を徹底レビュー。果たしてその評価は? 点数とあわせて、本作の魅力と課題を多角的に掘り下げる。※評価は5点満点とする。(文・編集部)

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実話ゆえの緊張感と、物件描写の物足りなさ

近藤仁美(クイズ作家)

【採点評価】3点

「実話に基づく」というだけあって、リアルな緊張感が感じられる。それもそのはず、物語の中だけでなく撮影現場でも不思議な現象が起きており、その一部は本編の映像にも使われている。

 一方で、タイトルにある「間取り」の存在感は薄い。この間取りだからこそこうなる、という展開はなく、基本的に各事故物件で何が起こったかを描いた話だ。それでいて、本作は「間取り」に縛られる。原作者が実際に住んだ場所をもとにしているのである程度は仕方がないのだが、俳優だけで食べていけず夜の店で働いているという設定の女性の部屋が、ひとり暮らしでありながら広々として机や椅子が複数、というのは、少々現実味に欠ける。怪異の出方も各物件で似通っているので、もう少しパターンがほしかった。

【著者プロフィール 近藤仁美】
クイズ作家。国際クイズ連盟日本支部長。株式会社凰プランニング代表取締役。これまでに、『高校生クイズ』『せっかち勉強』等のテレビ番組の他、各種メディア・イベントなどにクイズ・雑学を提供してきた。国際賞「Trivia Hall of Fame(トリビアの殿堂)」殿堂入り。著書に『クイズ作家のすごい思考法』『人に話したくなるほど面白い! 教養になる超雑学』などがある。

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【了】

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