なぜ?「伏線回収しきれず…」『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』の最後は…元探偵がガチレビュー【あらすじ 考察 解説 評価】
text by 寺島武志
広瀬すずと櫻井翔主演のテレビドラマ『ネメシス』。2021年に日本テレビ系列で放送され、人気を博した同作の劇場版となる『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』が公開中だ。豪華キャストを迎え、劇場版としてパワーアップした本作を、探偵事務所に在籍した経歴を持つ筆者が厳しい目線で語る。忖度なしのガチレビューをお届け!(文・寺島武志)
観客おいてけぼり…?
楽しむためにはドラマを観ておく必要がある
横浜の探偵事務所「ネメシス」を舞台に、広瀬すずが演じる探偵助手の美神アンナ、櫻井翔が演じる天才を自称するポンコツ探偵の風真尚希、江口洋介が演じる社長の栗田一秋が難事件を立ち向かう姿を描く人気ドラマが劇場版として帰ってきた。
物語の始まりは、ドラマの結末から2年後という設定。しかしながら、その頃、「ネメシス」は依頼数の減少による経営難に苦しみ、事務所もボロいビルの最上階の物置のような部屋に引っ越していた。
そんなネメシスに、成功報酬1000万円の依頼が舞い込み、風真と栗田は舞い上がる。依頼主は愛犬を誘拐された老人・榎戸(笹野高史)だ。さっそく調査に取り掛かるアンナと風真だったが、アンナの前に謎多き男・窓(佐藤浩市)が現れて以降、彼女は仲間を次々と殺されていくという悪夢にうなされるようになる。
夢と現実のシーンが、何度も行ったり来たりする。さらにアンナが悪夢にうなされて飛び起きるシーンが何度もリピートされることで、見る側は、なかなかストーリーに入っていけない。また、それぞれのキャラクター設定に対する説明もなく、あくまでドラマ版を見ていた人向けに製作された映画という印象が強い。