最大の野心作…興奮のラストは? 映画『世界の終わりから』は紀里谷和明版の『エブエブ』? 忖度なしガチレビュー
text by ZAKKY
『CASSHERN』でデビューし、世界を股にかけて活躍する映画監督・紀里谷和明の最新作『世界の終わりから』が公開中だ。伊藤蒼を主演に迎え、“世界の終わり”を阻止するために奔走する女子高生の物語が描かれる。紀里谷監督の最後の作品と銘打たれた本作は面白い?つまらない?ガチレビューをお届けする。【あらすじ キャスト 考察解説 評価】(文・ZAKKY)
主人公の夢が世界を救う?
天涯孤独の少女が運命に立ち向かう
考察に入る前に、あらすじを確認しておきたい。物語は、高校生である主人公・ハナ(伊東蒼)の祖母が亡くなるシーンから始まる。幼いころに両親を亡くし、天涯孤独となったハナは、居酒屋のアルバイトと、祖母のわずかな貯金を切り崩して生活を営む。
そんなある日、政府の特別機関の調査員である江崎省吾(毎熊克哉)と佐伯玲子(朝比奈彩)に突然声をかけられ、「見た夢を教えてほしい」と頼まれる。彼らによると、この世界はあと2週間で滅亡することになっており、ハナの見た夢は滅亡を阻止する力として必要不可欠なのだという。
政府の特別機関に裏で指示を送っているのは、人それぞれの「運命・人生」が記された書物を所持している、謎の老婆(夏木マリ)である。江崎と佐伯は、老婆から「世界を救うためには、ハナが必要」といった言葉を受け、ハナへ「見た夢を全て報告してくれ」と伝え、彼女の護衛を買って出るのだった。
国の官房長官である是枝智史(高橋克典)は、「占い師などに国の存亡を賭けるなど、馬鹿馬鹿しい」と一蹴し、テレビやネット上で、ハナの悪評を増長する。
そんな中、ハナの夢の世界(戦国時代のようだ)を支配する、武将を思わせる男・無限(北村一輝)は、ハナの夢の世界と現実の世界を自由に行き来し、世界を滅ぼそうとしていた。
大まかな対立構造としては、①ハナと老婆を含めた特殊機関チーム、②官房長官・是枝、③不死身の男・無限、この3組のせめぎ合いが軸になる。